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[社説]新型コロナ防疫が重要でも「電子ブレスレット」はやり過ぎだ

登録:2020-04-08 05:50 修正:2020-04-08 07:38
中央事故収拾本部のユン・テホ防疫総括班長が7日、世宗市の政府世宗庁舎でCOVID-19中央災害安全対策本部の定例記者会見を行っている=保健福祉部提供//ハンギョレ新聞社

 政府が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による自宅隔離者の隔離地域からの無断離脱を防ぐために、電子ブレスレットの導入を検討している。最近、一部の自宅隔離者の無責任な行動のために困難を強いられている防疫当局の苦労をわからないわけではないが、電子ブレスレット導入は代案にはなれないと思われる。人権侵害の余地が大きく、自宅隔離者のみならず市民の抵抗を呼び得る。

 中央事故収拾本部のユン・テホ防疫総括班長は7日、「大多数の国民は自宅隔離をよく守ってくれているが、一部の離脱が発生している」とし、「さまざまな手段の中の一つの案として電子ブレスレットの導入を検討している」と明らかにした。自宅隔離違反者に対する処罰の強化と共に電子ブレスレットを取り入れて隔離地域からの無断離脱を遮断するということだ。

 自宅隔離者の義務遵守はCOVID-19拡散防止のためにいくら強調しても行き過ぎではない。特に5日と6日の2日間連続で新規感染者が50人以下に落ちたことから、自宅隔離者に対する徹底的な管理が要求される。しかし、電子ブレスレットは選択肢になり得ない。政府は、性犯罪者につける「電子足輪」と異なり、電子ブレスレットは現在運用中の自宅隔離アプリがインストールされている携帯電話とブレスレットが遠く離れる場合に警報を鳴らして警戒心を高める補助手段でしかないと説明する。しかし、電子ブレスレットと言い換えて呼ぶとしても、電子足輪の否定的な認識は消えない。自宅隔離状態に入ったことも残念なのに電子ブレスレットまでつけさせられるとしたら、反発心が強くならざるを得ない。これまでCOVID-19対応で市民の自発性と開放性、透明性を強調してきた政府の政策基調にも合わない。韓国は社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)とマスク着用など高い市民意識でCOVID-19を統制して国際社会から賛辞を受けている。

 電子ブレスレットは、自宅隔離の遵守の有無を確認するアプリがインストールされている携帯電話を隔離場所に置いたり、初めから位置追跡機能を切って外出する事例を防ぐための苦肉の策だ。しかし、今まで自宅隔離指針を破って感染病予防法違反により司法処理手続きが取られているのは76人だ。自宅隔離者全体の4万6566人に比べればごく少数だ。大多数は隔離規則を忠実に守っている。また、自宅隔離指針違反に対する処罰も、既存の300万ウォン(約27万円)以下の罰金から1年以下の懲役または1000万ウォン(約90万円)以下の罰金へと大幅に強化された。

 政府は市民意識を信じて隔離規則を破る一部の人だけを厳格に管理すべきだ。自宅隔離者も自分はもちろん、家族と隣人のために隔離規則をより一層徹底的に守ってほしい。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/936053.html韓国語原文入力:2020-04-08 02:41
訳M.S

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