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[寄稿]新型コロナウイルス:協力vs隔離

登録:2020-03-16 06:59 修正:2020-03-16 08:08

 病原体は国境を知らない。彼らは歴史や民族に関心がなく、ただ一つ、繁殖にのみ関心を持つ。それぞれ5000万人以上を殺した14世紀のペストと20世紀のスペイン風邪のように、貿易と戦争は人類を周期的に滅亡させる災いの促進者だった。

 最新の流行病である新型コロナウイルス感染症(COVID-19)も違わない。中国湖北省の省都でありCOVID-19の震源地である武漢を行き交った人々は、その病原体に新しい宿主を提供した。COVID-19はクルーズ船と飛行機という密閉された空間を活用して人から人にうつされた。

 COVID-19に対する即時対応方式の一つは感染地域を封鎖することだった。中国政府はほぼ6000万人が居住する湖北省を閉鎖した。その地域を出入りする交通は遮断され、住民は家に閉じ込められた。その結果、湖北省と中国全域の感染率が大きく下がった。

 一部の専門家らは、このような封鎖を通じて中国政府がCOVID-19の拡散を遅らせ、他の国々に準備する時間を与えたと称えた。しかし、伝染病学者はそのようなアプローチが最終的に効果的なのかに対しては懐疑的だ。通行が再開されれば、疾病が一時的に除去された地域に感染した人々が再びウイルスを巻き散らし、また発病が起きることがあり得るからだ。

 また、隔離は民主国家ではうまく作動しにくい。イタリアの隔離は湖北省ほど厳格でない。イタリア北部の遮断措置が発表されると直ちに人々はその地域を去り、政府が家に居るよう訴えても多くの人々が公共の場所に行った。その後、イタリア政府は国全体に移動制限令を出した。

 再点火された国家主義の時代に、指導者は移民だけでなく感染率が高い国から来る人々に対しても国境統制を強化した。例えば米国のドナルド・トランプ政権は欧州から米国への入国を30日間禁止すると発表し、日本は韓国や中国から来た人々を2週間隔離すると明らかにした。

 都市を閉鎖して国境を閉じるのは、旅行者によって増幅される危機に対してふさわしい対応策に見える。しかし、このような措置は新型コロナウイルスのような病原体に関して間違った安保認識を提供する。新型コロナウイルスは強力なインフルエンザウイルスよりもやや致命的な水準とだと判明している。感染した大部分の人々は軽い症状だけで、一部は症状なしで済む。COVID-19がエボラ出血熱のようなより脅迫的な疾病よりはるかに伝播しやすいという意味だ。

 COVID-19のような疾病は、直ちに発源地で封鎖されない限り、最善の方法は緩和だ。つまり、高齢者や基礎疾患者など危険な状態の人々が一般の人々との接触を避けるようにするのだ。韓国が行っている攻撃的な検査と感染者に対する積極的隔離がそれだ。それは国境閉鎖よりも国境を超えた協力を増やすのが問題解決の鍵という意味でもある。パンデミック(世界的大流行)に対する堅固なグローバル対応がない場合、各国は地域協力を主張しなければならない。

 COVID-19はこのような種類の協力のための試験台だ。次の流行病はさらに危険で、さらに早く拡散し、はるかに致命的で変異可能であるかもしれない。日本、韓国、中国、北朝鮮は国境、歴史、貿易、安保で数多くの不一致点を持っている。しかし、COVID-19ウイルスは「感染」というただ一つの単語で地域内同盟を創り出した。

 東北アジアの各国は今回の機会を捉えて、域内科学コンソーシアム、輸送機関、医療対応チーム、貧困層支援資金などを創出しなければならない。そのような協力は、気候変動、持続可能なエネルギー、軍備縮小など他の事案にも拡張することができる。だが、COVID-19ウイルスとその影響と弱点に関する知識を共有することのような基本的な事から始めよう。

 地域協力は共通の敵を必要とする。その敵は武漢で部隊を編成して、すでにその地域内すべての国家に浸透した。韓国、日本、北朝鮮、中国が歴史と領土の違いを脇に置いて共に敵と立ち向かい戦う時だ。

//ハンギョレ新聞社

ジョン・フェッファー米国外交政策フォーカス所長(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/932638.html韓国語原文入力:2020-03-16 02:05
訳M.S

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