イランが8日、イラク駐留の米軍基地2カ所にミサイル攻撃を行った。ソレイマニ司令官が殺害されてから5日、予告どおり報復に出たものだ。米国とイランの対立が報復と再報復の悪循環に陥っている格好だが、正面衝突への拡大は防がなければならない。今回の事態の直接の原因は「第3国を利用し、イランの司令官を攻撃した」米国にあるだけに、米国はこれ以上の軍事行動を止めて外交的解決策を模索するのが正しいやり方である。
米国はソレイマニ司令官が「米国人に対し、差し迫った邪悪な攻撃をたくらんでいた」ため、自衛権の観点から除去したと主張したが、「差し迫った攻撃のリスク」に関する明確な証拠は提示できていない。むしろ第3国のイラクで軍事力を動員してイランの高官を無断で暗殺した行為は国際法違反であるだけでなく、イラクの主権を侵害した行動だという批判を免れるのは困難だ。米国とイランの対立の高まりも、もとはと言えば2018年5月にドナルド・トランプ米大統領が一方的に核合意を破棄したことから始まったということは世界中が知っている。
もちろん、米国によるソレイマニ暗殺に対応してイランがミサイル攻撃で報復に出たのは望ましいことではない。しかし、状況をここまで至らせた側こそ、より大きな責任感を持って事態の収拾に当たるべきなのは当然だ。現実的に事態を沈静化させる鍵を握っているのも、イランに比べ圧倒的な軍事力を保有している米国であることは明らかだ。にもかかわらず、米国がイランに「非礼でないやり方」で反撃することを予告し、力でイランを屈服させようとしているのは間違いだ。米国はこれ以上流血報復が起こらないよう自制すべきだ。
韓国政府はホルムズへの派兵問題をより慎重に扱うべきだ。ハリー・ハリス在韓米国大使は7日にも韓国放送(KBS)のインタビューで「韓国も中東から多くのエネルギー資源を得ている」として、強く派兵を迫った。しかし、米国とイランの間に全面戦争の可能性まで漂う状況において韓国が軍を送った場合、望まない犠牲ばかりが強いられる恐れがある。そのうえ、今のような状況においては、米国の側に立っての派兵に国際社会から正当性と名分を得るのも困難だ。イランの「米国の友好国が加担すれば、彼らも標的にする」との警告を聴き流すべきではない。派兵問題は急がなくてもよい。慎重に検討すべきである。