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イラン「米国に加担する国は標的に」と警告…ホルムズ派兵のジレンマに陥った韓国政府

登録:2020-01-09 06:41 修正:2020-01-09 11:07
政府、「イラン在住の国民の安全が最優先」緊急会議 
軍、有事の際の輸送装備など対策を協議中 
ハリス米大使「韓国軍の派兵を希望」公開的に要求
イラン革命守備隊が今月8日(現地時間)、米軍が駐留するイラクのアサド空軍基地を狙ってミサイルを発射する姿がイランの国営放送を通じて報道されている=イラン国営テレビよりキャプチャー/EPA・聯合ニュース

 イランが8日(現地時間)、イラクの米軍基地にミサイル攻撃を加えた直後、米国の反撃に加わる国も標的になると警告を発したことを受け、ホルムズ海峡派兵を検討している韓国政府の悩みが一層深まることになった。状況が悪化した場合、米国が主導するホルムズ海峡の安全確保などを目的とする有志連合に参加する国々も、イランの攻撃目標になる恐れがあるためだ。国防部と外交部は同日午後、緊急対策会議を開くなど、中東の戦雲に神経を尖らせた。

 イラン革命守備隊は米軍基地を攻撃した直後の声明で、米国の反撃に加担する米国の友好国や米軍基地がある第3国も標的になり得ると公言した。そして、アラブ首長国連邦のドバイやイスラエルのテルアビブとハイファを候補に挙げた。アラブ首長国連邦では韓国のアーク部隊(150人規模)が現地の特殊部隊教育を支援しており、イスラエルと接したレバノンには東明部隊(350人規模)が国連平和維持軍として駐留している。

 イランのミサイル能力は中東地域で最強に属するとされる。英国際戦略問題研究所(IISS)はある報告書で、イランが中東地域はもちろん、トルコやエジプト、インドまで打撃できるミサイル能力を備えていると評価している。同報告書は「イランはイスラエルとサウジアラビアに比べ、空軍力が劣勢であるため、ミサイルを中心に軍事力を構築した」と指摘した。

 政府は、何よりも中東地域に居住する韓国国民の安全に優先順位を置いている。軍は有事の際、彼らを保護し輸送するための装備所要を把握しているという。現在、イラクには約1570人が、イランには約290人、イスラエルには約700人の韓国国民が在住していると外交部は把握している。戦雲が立ち込めるイラクに滞在中の国民は、大半がカルバラ製油工場とビスマヤ新都市現場で働く建設会社の社員だという。外交部当局者は、「様々な可能性を念頭に置いて状況を注視している」とし、「まだ撤収を考慮する段階ではない」と明らかにした。カン・ギョンファ外交部長官は8日午後、イランやイラクなどの中東地域の公館長らと対策を協議するテレビ会議を行った。

 このような状況で、米国は韓国のホルムズ派兵を繰り返し要求している。米国のハリー・ハリス大使は7日、「韓国放送」(KBS)のインタビューで、「韓国も中東から多くのエネルギー資源を得ている」とし、「韓国がそこに兵力を送ることを希望する」と述べた。米国はこれまで、韓米国防長官会談など、様々な契機を通じてホルムズ海峡への派兵を要求してきたが、このように公に派兵については言及したことはなかった。米国の派兵要求が急迫した政策目標になったことを意味する。米国としてはイランに対抗して国際連帯を誇示し、中東地域での武装を強化する必要性が一層高まった。一部では、韓国の派兵に先立ち、在韓米軍の兵力や装備が中東地域に派兵される可能性があるという見通しも示している。

 米国の派兵要求が急迫し、政府の選択も圧迫されることになった。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が新年の辞で南北関係の進展に意欲を示したため、米国がこれをホルムズ派兵と結び付ける可能性もあると見られている。チョン・ウィヨン大統領府国家安保室長が出席する8日の韓米日3カ国安保高官級協議でも、北朝鮮問題とともに派兵問題が重要な議題として取り上げられるものと予想される。韓米は来週、米サンフランシスコでカン・ギョンファ長官とポンペオ国務長官の会談を調整中だという。

ユ・ガンムン先任記者、キム・ソヨン、ノ・ジウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/923689.html韓国語原文入力:2020-01-09 02:00
訳H.J

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