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[寄稿] 福島原子力発電所汚染水の解決法

登録:2019-11-21 20:35 修正:2019-11-22 07:34
日本の福島の汚染水タンク//ハンギョレ新聞社

 福島原子力発電所汚染水の海中放流の可能性が提起され、朝鮮半島はもとより各種の国際機関はこれに対する憂慮を示している。もちろん、国際原子力機関(IAEA)、国際海事機関(IMO)、世界保健機関(WHO)などの国際機関において国際共助を先導しているのは韓国だ。原子力発電所汚染水を海に流す場合、最も大きな問題は西太平洋地域の海洋環境とその地域の住民の健康に重大な影響を及ぼしかねず、そこに最も隣接しているのが韓国だからだ。

 グリーンピース・ドイツ事務所のショーン・バニー氏は、英国「エコノミスト」誌に最近寄稿した原稿で、日本が太平洋に汚染水を放流する場合、1年以内に東海にも放射性物質が流入するだろうと警告した。特に隣接国である韓国は、こうした環境脅威に対して十分に協議し、関連情報を要求する権利があると強調した。韓国の国政監査でも、福島汚染水の放流に対する憂慮はもちろん、対応策を用意しろとの質問が相次いだ。

 ところが、このような警告と指摘が、根源的な解決を誘導し協力する体制ではなく、国際公論化を通じた圧迫に終わることが多く、形式的論理で処理される危険があり残念だ。放射性物質が1年以内に東海に流れ込むという指摘も、放流量と濃度により変わるし、正確な流入濃度が示されなければ単に危険を提示する水準に止まってしまう。1年以内に流入するという事実より、実際には回遊する魚類がいつでも韓国の近海に入ってくる可能性があることを知らなければならない。また、海洋生態系の破壊と各国が太平洋で操業した漁獲物はどのようにするべきか?人類の災難と言わざるをえない。より深く科学的な検討を通じて、周辺国の憂慮はもちろん、直接苦痛を味わっている日本の市民社会と漁民の憂慮を払拭させられる処理方案が導き出されなければならない。

 海洋汚染物質を処理する方案は、大きく五つに分かれる。第一は、発生源の制御だ。汚染物質自体が発生しないよう原料や生産工程の交替はもちろん、生産と消費までも禁止させる最も根源的な解決方法だ。第二は、再循環、再使用だ。発生した汚染物質を自然に再循環させたり他の用途に再使用する方法だ。第三は、汚染物質を保存する方法だ。現時点で処理方法が開発されていなかったり、再使用が不可能な時には、人間の活動領域から相当な距離に保存し処理する方法だ。第四は、地域割当制による汚染統制だ。海域別に、用途に応じて基準を別にして管理する方法だ。韓国の海洋保護区域や特別管理海域がこれに該当する。最後は、課税による汚染統制だ。やむをえず汚染を免れない場合、補償と復旧のための費用を原因者負担原則により罰金を賦課する制度だ。

イ・ソンモ釜山経済大学生態工学科教授//ハンギョレ新聞社

 原子力発電所の汚染水は、いかなる形でも現在の水準で原則にない海中放流は決してしてはならないことであり、現人類はもちろん、未来世代のための環境の正義に対しても不当だ。放射性物質は、その名前の通り自然崩壊するので、隔離して時間を置いて保管すれば自然に減少する。ただし、時間と空間が問題になるので、経済的な処理方法にならないだけだ。また、保管する間に新しい効果的な処理技術を開発することもできる。したがって、福島原子力発電所汚染水問題を福島と日本の問題に限定してアプローチせずに、私たち人類全体の問題として考えなければならない。特に、原子力発電所保有国と隣接国が優先的な技術的・経済的協力を惜しんではならない。人類の災難は、一国家から始まることがあるが、一国家の災難は国際社会が協調して解決することができる。

イ・ソンモ釜山経済大学生態工学科教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/917987.html韓国語原文入力:2019-11-21 19:24
訳J.S

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