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[社説]北朝鮮は「金剛山最終通告」取り下げ対話の場に出よ

登録:2019-11-16 08:09 修正:2019-11-16 08:44
キム・ヨンチョル統一部長官(右側手前)が10月31日午後、ソウル世宗路の政府ソウル庁舎執務室で金剛山観光事業者の現代峨山のペ・グクファン社長、韓国観光公社のアン・ヨンベ社長と北朝鮮の南側施設撤去要求などに関する問題を協議している=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮が金剛山(クムガンサン)の南側施設を一方的に撤去することがあり得るとの意向を表明した。北朝鮮官営メディアの「朝鮮中央通信」は15日、「南側当局がつまらない主張にこだわるなら、一方的に撤去を断行するという最終通告を送った」と伝えた。北朝鮮が最終通告という表現まで使って強制撤去の可能性を取り上げたのは今回が初めてだ。金剛山問題を巡る南北間の緊張が最高潮に達したと感じられる。

 北朝鮮報道の発言の水位はいつになく高い。北朝鮮は、金剛山が南北の共有物ではなく、南北和解の協力の象徴的な場所でもないとした。なぜ北朝鮮がこのような早急な態度で強引な主張を続けるのか理解できない。南側はこれまで何回も実務会談を提案し、共同点検団を送るという意向も明らかにしてきた。それなのに北朝鮮は撤去要求だけを繰り返し、とうとう「強制撤去」にまで言及した。北朝鮮のこのような主張は、南北協力という根本精神に反するだけでなく、南側企業の財産権保護という原則にも反する行為だ。北朝鮮が財産権問題をこのように紙切れのように見なすならば、今後どの国の企業が北朝鮮に投資すると考えることができるだろうか。北朝鮮の撤去圧迫は、焦りにとらわれて長期的な視野を逃す過ちを犯しているのだ。北朝鮮は圧迫行動をやめ、今からでも問題解決のために対話の場に出るべきだ。

 北朝鮮が金剛山施設の強制撤去の可能性を明らかにする直前に、朝米非核化交渉を再開する意思をほのめかしたことを見れば、この問題が朝米交渉とも関連があるだろうという考えを消すことはできない。朝米交渉で優位を先取りするために、金剛山問題を対米圧迫用としているのではないかという疑問である。しかし、朝米交渉に金剛山問題を引き込むのは、南側世論を悪化させるだけだという点を北朝鮮は知らねばならない。朝米交渉が十分に行われるためにも、南北が疎通することは必須だ。

 状況が深刻なのは事実だが、事態を対話で解決する余地はまだ残っていると見られる。北朝鮮の立場発表が官営メディア報道という形式を取り、「最終通告」の発信主体も明示されていない。撤去期限も明らかにしなかった。北朝鮮が強硬発言の後に妥協の可能性を残しておいたものと見ることができる点だ。政府は事態の深刻性を深く認識し、非常な覚悟で北朝鮮を説得する方法を見つけることに、あらゆる努力を尽くことを望む。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/917238.html韓国語原文入力:2019-11-16 02:32
訳M.S

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