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[特派員コラム]「同盟とは何か」問い直させる米国

登録:2019-11-14 20:15 修正:2019-11-15 08:08
トランプ米大統領が8日(現地時間)、選挙遊説のためジョージア州に向かう直前、ホワイトハウスのサウスローン(南の庭)で取材陣の質問に答えている=ワシントン/ロイター・聯合ニュース

 23日0時に迫った韓日軍事情報保護協定(GSOMIA)の終了と、来年度の在韓米軍防衛費分担金問題で、韓米がとても冷たい冬をむかえている。15日ソウルで開かれる韓米安保協議会議(SCM)は、いつにもまして雰囲気が重くなると見られる。米国は最近、マーク・エスパー国防長官、マーク・ミリー合同参謀議長、ロバート・エイブラムス韓米連合司令官、デービッド・スティルウェル国務省東アジア・太平洋担当次官補ら高位級の人々がいっせいに乗り出し、韓国のGSOMIA終了決定の撤回と防衛費分担金の大幅引き上げを圧迫してきた。来年の大統領選挙で業績として掲げたいドナルド・トランプ米大統領の強烈な欲求と催促がその背景だろう。

 だが、同盟国の主権的決定に持続的に撤回を圧迫すると同時に、すさまじい防衛費分担金の引き上げに熱を上げる米国の行動は、「同盟とは何か」という疑問を育てる。韓国政府のGSOMIA終了決定に「強い憂慮と失望」を表し、じゅうたん爆撃を加えてきた米国政府が、輸出規制措置という原因を提供しこの事態を呼び起こした日本に対しては、どんな解決努力をしているのか分からない。日本の態度変化なくして韓国だけが一方的に引き下がれという要求が続くなら、韓国国民は受け入れがたく、「同盟無視」という世論が高まるだろう。

 同盟をビジネスの相手としてのみ見るような在韓米軍防衛費分担金問題では、はさらに幅広い“公憤”が形成されている。米国の専門家たちも、今年の5倍を超える50億ドルまで達すると言われる米国の引き上げ要求に対して、進歩からも保守からも「トランプ政府はひどい」と言っている。韓国でも与野党の意見が一致する内容だ。ワシントンのシンクタンクの人々の中には、私席でトランプの来年再選展望は不確かだと言及し「韓国政府は、今回の交渉で一気に大幅に上げることを最大限に避けなければならない」と話す人もいる。米国に引きずられてはいけないということだ。

 防衛費分担金交渉が、在韓米軍の撤収や縮小問題につながることもありうる。大統領選挙の時から、韓国の防衛費分担に対して「どうして100%ではないのか」として、在韓米軍撤収の可能性を表わしたトランプ大統領なので、実際にそう持ち出す可能性も排除はできない。だが、在韓米軍をタブー視して、恐がる必要もない。この問題が公論化されれば、韓国だけが騒々しくなるわけではない。在韓米軍の配備が、トランプの言うように純粋に「我々(米国)が彼らを守ること」なのか、中国牽制を含む米国の世界戦略上の必要に従ったものなのかをめぐり、米国内の論争が複雑になるだろう。数万人の米軍を韓国に駐留させることと、米国本土や欧州などに配備する場合の費用を問い詰めてみるならば、トランプの“マネー”の論理が捩れもする。

 米議会の荒々しい反対も予告されている。13日に会ったアダム・スミス下院軍事委員長(民主党)は、在韓米軍の撤収・縮小の可能性に対する質問に「北朝鮮は依然として脅威」としながら、断固として「私は反対するし、私が知る限りでは皆が反対する」と話した。同党のエリオット・エンゲル下院外交委員長は前日「在韓米軍の撤収は愚かなこと」と話した。また一方では、在韓米軍が韓国にとって永遠の定数であるはずもないということも喚起する必要がある。現在約2万8500人の在韓米軍の規模は、朝鮮戦争以後の国際情勢の変化などにより減り続けてきた結果だ。

 率先して同盟を傷つけるトランプの時代には、それに相応しい冷徹な備えが必要だ。「強い憂慮と失望」は、米国だけが感じているわけではない。

ファン・ジュンボム・ワシントン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/917075.html韓国語原文入力:2019-11-14 18:22
訳J.S

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