米国が韓国の在韓米軍防衛費分担金の大幅増額を要求する全方位的圧力を本格化させている。米国の来年の防衛費分担金要求額が47億ドル(約5兆5千億ウォン)に達するという報道も出てきた。47億ドルならば今年の分担金1兆380億ウォンの5倍を越える。政府は米国の非合理的な要求にきっぱりと対応しなければならない。
米国の圧力は組織的で全方位的だ。訪韓したスティルウェル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)が6日、カン・ギョンファ外交部長官とキム・ヒョンジョン大統領府国家安保室2次長に会い、防衛費の分担金に対する米国の立場を伝えたと分かった。スティウェル次官補と同じ日に訪韓したディハート韓米防衛費分担金交渉首席代表は、政財界人巡りをして分担金増額の圧力をかけている。
ディハート代表が求めている引き上げ額が正確にいくらなのかは分かっていない。だが明らかになった話をまとめると、米国がこれまで取り上げて論じてきた50億ドルに近いと見られる。しかもディハート代表はこのような天文学的な金額を提示しながら、具体的な項目も示していないと分かった。総額を丸投げして受け入れろというような圧力をかけているのだ。それだけではない。この総額の中にこれまで分担金に含まれて来なかった韓米合同演習と朝鮮半島外に駐留している米軍の警備の費用まで含ませているという。
米国のこのようなとんでもない分担金の要求は、常識と理性に反するものだ。トランプ米政権がいくら同盟関係を事業的な取引として見ているとしても、このような要求は度を越しているというよりも無礼だ。しかも米国は分担金の要求が受け入れられない場合は、在韓米軍を縮小する可能性までほのめかしている。このような圧迫は同盟の精神を損ねて韓米相互信頼を弱化させるほかないという点から、米国の国益にも長期的には良くない。米国が「傭兵商」をするというのでないならば、このような非合理な圧力は直ちに撤回すべきである。
韓国は今年すでに分担金を8.2%も上げた。それに加えて米国から高額な先端兵器を大量購入している。それなのに米国は現在の5倍以上の分担金引き上げを要求している。政府は米国の圧力に揺るがず、確固たる根拠と論理で国益を守らなければならない。分担金は合理的で公平なレベルに決定されるべきだということが国民の意思であるということを政府は忘れないよう望む。