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[寄稿]DMZの地雷撤去を目指して

登録:2019-10-11 07:01 修正:2019-10-11 08:27
(社)平和ナヌム会 チョ・ジェグク代表//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は9月24日の国連での演説で、非武装地帯(DMZ)の地雷撤去に対する国連をはじめとした国際社会の協力を要請した。非武装地帯は長い間、南北分断の象徴であり、潜在的な紛争の可能性を示す場所である。南北は休戦協定の規定に違反し数多くの地雷を埋設しており、事実上重武装地帯となっている。文大統領は先の板門店(パンムンジョム)宣言において、埋設されている地雷を撤去して非武装地帯を平和地帯に変えようと提案した。それ以降、板門店共同警備区域、ファサルモリ高地などで地雷撤去を行ってきたが、今回の国連総会では非武装地帯のすべての地雷を除去し、「非武装地帯に平和 ・生態・文化に関する国連機関を誘致し、国際平和地帯にしよう」と提案した。地雷を撤去して非武装地帯を平和研究、平和維持(PKO)、軍備規制などの国際的な中心地とし、名実共に平和の実践の場にしようというものだ。

 今回の演説で注目すべきことは、文大統領が非武装地帯の地雷撤去のために国連地雷対策サービス部(UNMAS)をはじめとする国際社会の協力を要請したということだ。これまで韓国の市民社会は、オタワ対人地雷全面禁止条約成立以来この20年間、地雷問題を解決するにはアジア・アフリカなどの様々な国で地雷撤去の経験を蓄積してきた国連をはじめとする国際社会の人道的地雷撤去団体の協力を受けるべきと主張し続けてきた。昨年末と今年初め、延世大学と国連司令部でそれぞれ、文大統領が言及したUNMASをはじめとする人道的地雷撤去専門国際団体の代表が集まり、非武装地帯の地雷撤去について踏み込んだ議論を行った。

 この時、ほとんどの専門家は韓国の地雷問題を解決するにはレバノンの事例を見る必要があり、透明性と安全性を保障するために国連地雷対策基準(IMAS)に従うべきと主張した。このような過程で、英国やノルウェー、スイスなどの国際地雷撤去専門団体の協力を引き出さなければならないということだった。

 国連の地雷対策基準によると、地雷問題の解決には地雷撤去作戦の前段階である非技術的調査と技術的調査が行われなければならず、環境影響などの各種事前評価が必要である。また、地雷撤去の後には土地活動に関する事前論議がなければならない。膨大な地雷対策基準や実行規範(TN)には、国連傘下の機関や人道的国際団体、営利団体が地雷問題を解決する際に守らなければならない事項が詳しく記されている。カンボジア、ベトナム、ラオスをはじめとするほとんどの地雷汚染国家は、地雷撤去の責任部署を首相または大統領直属で設置し、様々な関連省庁が協力するようにしている。

 文大統領が言及したように非武装地帯内の38万発あまりの地雷を除去するだけで15年以上がかかるという。南北間に横たわった100万発以上の地雷を撤去することは容易でないということだ。しかし、国連機関をはじめ先進の人道的地雷撤去専門団体が協力する準備をしているだけでなく、164カ国におよぶ対人地雷全面禁止条約加盟国が韓国の地雷撤去を支援してくれるだろう。台湾は中国との関係を改善したことで、国際社会の協力を得て、2015年に中国本土の目の前に位置する金門島の地雷13万発を7年ですべて撤去することに成功した。韓国が地雷問題の解決のために非武装地帯と境界地域の地雷地帯を国際社会に開放し、国連など国際機関の協力を引き出すことができれば、朝鮮半島の地雷撤去は越えられない山でないことは明らかである。

(社)平和ナヌム会代表 チョ・ジェグク (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/912752.html韓国語原文入力: 2019-10-10 17:27
訳D.K

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