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[社説]検察と国会は100万ろうそく集会の「検察改革」直視せよ

登録:2019-09-29 22:28 修正:2022-12-24 09:06
「国民主権」損ねた過度な検察権行使
地検前のろうそく集会の意味を肝に銘じ
国会は公捜処法の年内成立を
「検察改革司法積弊清算汎国民市民連帯」主催の第7次ろうそく集会が28日午後、ソウル瑞草洞のソウル中央地検前で開かれ、参加した市民たちがろうそくでウェーブを作り検察改革を叫んでいる=イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

 先週末、ソウル市瑞草洞(ソチョドン)のソウル中央地検の一帯で検察改革を要求する巨大なろうそくの灯りが燃え上がった。規模で見れば3年前の朴槿恵(パク・クネ)-チェ・スンシル氏の国政壟断事件を糾弾する全国民的なろうそくデモに次ぐほどだ。チョ・グク法務部長官の家族に対する捜査を行っている検察はもちろん、政界もこのろうそくの灯に込められた世論を直視するよう願う。特にユン・ソクヨル検察総長はチョ長官と家族に対する捜査が国民主権の原則を傷つける過度な検察権行使ではなかったか厳しく振り返るべきだ。また、捜査の過程で無理な捜査形態や不当な人権侵害はなかったか調べなければならない。社会正義を名分として掲げたいかなるやり方の捜査も、民主主義と三権分立の原則を越えようとした瞬間に検察の既得権保護手段になりかねないことを今からでも悟るよう願う。

 28日夕方の同集会に参加した市民の規模が数十万か、100万か、200万を軽く越えるかをめぐっては意見が入り乱れているが、はっきりしている事は当初10万人程度といっていた主催側の予想をはるかに超えたという点だ。集会翌日の29日にユン検察総長は「検察改革に関する立場」の声明を出して「検察改革のための国民の意思と国会の決定を検察は忠実に受け止める」と明らかにした。チョ長官と家族に対する捜査が検察改革に対する「抵抗」ではない点を強調したものと読める。しかし、集会の参加人数が予想を大きく上回ったことは、検察捜査はそれほど「政治的で過き過ぎ」という認識が多くの国民の間に広まっている意味だとみるべきだろう。

 最も大きな問題は検察が与えられている権限を越え、大統領の人事権や国会の長官承認手続きを無力化し、上官である法務部長官の適格性を判断しようとした「傲慢と越権」にあると言えるだろう。検察は与野党が国会の人事聴聞会に合意した時、大々的に家宅捜索し、人事聴聞会が終わるやいなやチョ氏の夫人をただ一回の召喚調査もなしに在宅起訴した。チョ氏に「これ以上がまんせず自ら辞退せよ」という強い圧力と見るほかない。いったい誰が検察に法務部長官の任命を思うままにする権限を与えただろうか。もし疑惑があるならば人事聴聞会が終わって国民の評価が下された後に捜査に入るのが正しかったはずだ。瑞草洞のろうそくの灯は検察の万事可能式の形に対する国民の鋭い批判と言えよう。

 そうしてチョ長官と家族に対する捜査に入ってすでに一カ月がすぎた。検察の公式発表がなく、詳しい内容は知りえないが、マスコミの報道によるとチョ長官夫人のファンド実所有疑惑や東洋大学の表彰状偽造疑惑、子供のインターン証明書疑惑がこれまでに現れた主な疑惑に見える。これら一つ一つが事実ならば、その責任は軽くない。しかし、重要なことは今回の捜査がチョ長官や夫人の権力型不正事件から始まったのではなく、チョ氏の「人事聴聞報告書」からだという点だ。特捜部の検事数十人を動員して一カ月余り捜査した内容が、夫人や子供ら家族関係の事案だったとしたら、それは果たして長官任命の失格条件と見ることができるのか。また、そのような形で公職の候補者の家族を叩きあげて「疑惑」を明らかにする事を認めれば、検察総長を含む高官の誰が自由でありえるのかと国民の多くは疑問を提起している。検察は、このような国民的批判と捜査に対する不信を深刻に受け入れるべきだ。

 政界も国民の検察改革の要求に立法で答えなければならない。現在、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)法案と検察・警察捜査権調整法案が国会の迅速処理案(ファーストトラック)に上がっている。瑞草洞のろうそく集会で最多のスローガンの一つが公捜処の設置だった点を国会は軽く考えてはならない。これらの法案は10月27日以降に国会の本会議への提案が予想されている。肥大した検察権限を制御するためには制度的立法が必須であり、それには与野党の利害が関与してはならないと考えられる。国会は今年中に検察改革法を成立させることによって国民の検察改革に対する強い要求に答えるよう願う。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
http://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/911344.html 韓国語原文入力:2019/09/29 17:30
訳T.W

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