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[社説]豚コレラ拡散、今防げなければ「災厄」に

登録:2019-09-26 02:27 修正:2019-09-26 09:31
24日、京畿道坡州市の養豚農家でアフリカ豚コレラ(ASF)がまたもや発生し、防疫関係者が出入りを規制して豚の屠殺処分をしている=坡州/シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 17日、京畿道坡州市(パジュシ)でアフリカ豚コレラが初めて確認されて以降、周辺地域で発生が相次いで出ている。24日に確定判定を受けた坡州市と仁川江華郡(インチョン・カンファグン)の養豚農場2カ所を含め、発生地は5カ所に増えた。100%近い致死率を示している上、治療薬すらないというこの病気の深刻さを考えると、やり過ぎと思われるほど強力に対処しなければならない。この1週間の防疫過程で明らかになった穴を検証して埋めることが早急に求められるだろう。

 政府は、北朝鮮で広がった豚コレラ・ウイルスが南に伝播した可能性を疑っているという。発生地域がいずれも北朝鮮に近い境界地域であるためだ。国家情報院によると、北朝鮮では平安北道地域の豚が全滅するほど状況が深刻だった。南北当局の協力が実現しなかったということが残念でならない。

 初期対応に穴がなかったか振り返ってみることだ。農林畜産食品部は最初の発生直後、アフリカ豚コレラの危機警報レベルを最高レベルの「深刻」に引き上げ、全国の養豚農場や屠畜場などに対して48時間の「移動中止命令」を下した。マニュアル(指針)に従った措置だったが、結果的に発生が拡大したことで、移動中止期間が短すぎたのではないかという疑問がわく。病気の潜伏期間が4~21日とされているのだから、なおさらだ。李洛淵(イ・ナギョン)首相は24日、緊急関係閣僚会議で「これまで我々が力を注いだ防疫が完全ではなかったことは認めざるを得ない」と述べた。

 李首相の指摘のように、これまでの防疫体制では十分でないことが明らかになっただけに、やりすぎと思われるほどに断固たる、かつ迅速なる対応が必要だ。前例のない事態であることを考慮すると、従来の指針に縛られた対応だけでは不十分だ。「汎政府対策支援本部」段階の現在の対応体制を、政府最高対応機構である「中央災難安全対策本部」(中対本)に格上げし、総合的に対応力を高める方策を積極的に検討すべき時期に来ていると考える。

 これまでに診断が確定した事例は京畿道北部地域に限られており口蹄疫とは違い伝播速度が速くないという事実だけでは、全く安心できない状況だ。24日現在までに診断が確定したすべての農場が車両の移動による直接・間接的な「疫学関係」でつながっていたということに鑑み、すでに他の地域に広がっている可能性も排除できない。もしこの病気が全国に広がる事態になれば、養豚農家はもちろん、その前後に連なる関連産業全般が大きな打撃を受ける「災厄的状況」となりうる。政府・民間ともに非常な覚悟で対処すべき時だ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/910909.html韓国語原文入力: 2019-09-25 17:43
訳D.K

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