米国が先日、韓国に防衛費分担金の大幅増額を圧迫したのに続き、今回は事実上ホルムズ海峡への派兵を要求すると共に、中距離ミサイルの配備問題にも触れた。韓日が貿易問題で対立している状況は眼中になく、ただ米国の利害関係だけを貫こうとしているように見られ、非常に残念だ。
マーク・エスパー米国防部長官は4日、中距離核戦力(INF)全廃条約の廃棄で制約がなくなった中距離ミサイルの「アジア配備」を取り上げ、「同盟とパートナーらと協議して配備する」と述べた。ニューヨーク・タイムズ紙は韓国と日本に中距離ミサイルが配備される可能性があると報じたが、実際韓国に配備されれば、中国の反発を呼び「第2のTHAAD(高高度防衛ミサイル)事態」に飛び火する可能性が高い。しかも、東アジアは、米国と中国、ロシアなど3カ国の中距離ミサイルが互いを狙って競争する、非常に不安定かつ危険な状況に追い込まれることは明らかだ。
また、マイク・ポンペオ米国務長官は同日、ホルムズ海峡の船舶安全を担当する「有志連合」の構成について、「韓国と日本のように、この地域に利害関係のある国が自国の経済利益を保護する方法で参加することが重要だ」とし、韓国と日本に参加を促した。ホルムズ海峡が韓国の原油輸入量の約80%が通る生命線であり、ここの安全な航海に韓国経済の重要な利害がかかっているのは事実だ。しかし、当初ホルムズ海峡に緊張が高まったのは、米国が一方的にイラン核合意を破棄したためであり、他国に派兵を要求することは名分が弱い。これに先立ち、先月訪韓したホワイトハウスのジョン・ボルトン国家安保補佐官はチョン・ウィヨン大統領府国家安保室長などと面会し、防衛費分担金を今より5倍に増やしてほしいと要求したという。大統領府はこのような内容を否定しながらも、防衛費分担金問題を協議した事実は認めた。米国が貿易をめぐる韓日の対立を仲裁するどころか、高価な防衛費請求書だけを突き付ける形だ。
中距離ミサイルのアジア配備やホルムズ海峡の船舶安全問題は、韓日間の対立と関係なく、米国の世界戦略レベルで進められることである。しかし、同盟の困難は気にもとめず、自分の利益だけを考えているような姿には違和感を覚えざるを得ない。特に今のような時期に、防衛費分担金の引き上げを要求することは、あまりにも一方的だという批判を免れないだろう。今は韓日の対立緩和に少しでも役立つのが、同盟としてやるべきことではなかろうか。