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[ 社説 ]「米中軋轢は世界経済最大の危険」と声を合わせたG20

登録:2019-06-11 08:03 修正:2019-06-11 09:23
9日、福岡ヒルトン・シーホークホテルで開かれたG20経済関係閣僚会議に参加した各国代表。3列目中央がホン・ナムギ副総理兼企画財政部長官=企画財政部提供//ハンギョレ新聞社

 主要20カ国・地域(G20)の経済分野の最高責任者が、米中貿易紛争を世界経済の最大の危険要因に選んで国際協調を強調した。主要国が声を合わせて協調を誓ったことで一縷の期待が持たれる。今月28、29日に日本の大阪で開かれるG20首脳会議を機に、米中対立が緩和され国際協調体制が固まることを願う。

 G20財務長官および中央銀行総裁は、8、9日に日本の福岡での会議で採択した共同宣言文で「世界経済の成長傾向は相変らず微弱で、下向きのリスク要因が今なお残っているが、最も重要な要因は貿易摩擦と地政学的緊張の深化」だと挙げた。「米中間の関税報復戦」を直接取り上げてはいないが、「貿易摩擦」や「地政学的緊張」という遠回しな表現を通じて、米中の対立を世界経済の最大の悪材料だと指摘した。全主要国が米中紛争を大きく憂慮していることを示している。

 参加国は共同宣言文で「国家間の協力を強化するための努力を持続する」と表明した。国際的な政策協力を通じて、景気の鈍化に共に対応しようと申し合わせたのだ。

 ややもすると中止になるかも知れなかった共同宣言文を採択し、国際協調を念押したのは肯定的に思える。しかし、今回の会議が米中のあつれきの緩和につながることを期待するのは早い。当初宣言文案に盛り込まれていた「貿易緊張を解決しなければならない緊迫した必要性を認める」という一節が、米国の反対で削除され、G20会議で当然盛り込まれていた「保護主義反対」の文面も入らなかった。国際協調の限界がうかがえる。

 韓国経済は今後も相当期間、不確かな状況に置かれることは明らかだ。米中のあつれきの直撃を受けて生産・消費・投資の全てが萎縮し、最後の支えとされている輸出まで下降線を免れなくなっている。成長率の見込みが相次いで下方調整されているのは、このような困難の反映だ。

 政策当局は緊張感を持って経済全般を安定的に運営しなければならない。危機局面で最初に切り捨てられがちな疎外層に対する備えが何より重要だ。今回の会議に参加したホン・ナムギ副総理兼企画財政部長官が「経済が危機を迎えるときこそ、脆弱層に対する包容的成長の勢いが重要だ」と述べたことを実際の政策につなげるように願う。政界はこのための財政執行の門戸を開くことくらいはまとまらなければならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/897322.html登録:2019/06/10 19:44
訳T.W

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