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[社説]米中対立の中、選択を迫られる韓国

登録:2019-06-06 23:07 修正:2019-06-07 07:29
ハリー・ハリス駐韓米国大使が今月5日、ソウル江南区フェイスブック・コリアで駐韓米国大使館と韓国インターネット企業協会の主催で開かれた「クラウドの未来」コンファレンスで、基調演説を行っている//ハンギョレ新聞社

 米中の軋轢が激しさを増している。両国の貿易紛争が次第に覇権争いの様相を呈し、韓国に「どっちの味方なのか」の選択を迫る圧力が本格化している。かつて韓国は、米軍戦略兵器「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備を容認したことで、中国の厳しい経済報復にあった経験がある。今回も、両大国のはざまで韓国が望まない選択を強いられる“板挟み”になる恐れがある。政府は手遅れになる前に適切な対応策を講じ、賢明に対処しなければならない。

 ハリー・ハリス駐韓米国大使は5日、在韓米国大使館と韓国インターネット企業協会が主催したイベントで、「5G(5世代移動通信)ネットワーク上のサイバーセキュリティは、同盟国の通信を保護する核心要素」だとし、「短期的なコスト削減の誘惑に駆られるかもしれないが、信頼できない供給者を選べば、長期的にリスクと費用負担が非常に大きくなるだろう」と述べた。特定企業名を明示したわけではないが、事実上、中国の華為(ファーウェイ)の通信装備を使わないよう求めたのだ。米国の高官が公にこの問題を取り上げたのは今回が初めてだ。

 韓国政府はこれまで華為の装備の使用について、「個別企業が判断すべき問題」だとし、留保的な立場を示してきた。しかし、米中間の軋轢が激化し、もはや韓国が中立地帯にとどまることが許されない状況が近づいている。これに先立ち、米商務省は中国のレアアース供給中断の可能性について、「カナダやオーストラリア、欧州連合、日本、韓国との協調を拡大しなければならない」とし、韓国の離脱の可能性を遮断した。

 一方、決死抗戦の意志を示している中国も、韓国が米国側に立たないよう圧力をかけている。中国外務省当局者は最近、米中貿易問題と関連し、訪中した韓国記者団に「韓国政府が慎重に判断しなければならない」と述べた。中国はまた、今月から韓国人に対する常用ビザの審査条件を強化するなど、圧迫を強めている。米中の板挟みになり争いに巻き込まれないよう、戦略的行動と選択がいつになく重要な瞬間だ。

 李洛淵(イ・ナギョン)首相は先月末、「米中関係の展開は貿易紛争や華為の問題を超える広範な影響を私たちに与える」として、外交部に専担組織の設置を検討するよう求めた。韓国としては、米中の間で「国益優先」を基準に折衷点を見出すほかない。必要なら、専担組織の設置を含む政府レベルの対応態勢を整えなければならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/896933.html韓国語原文入力:2019-06-06 19:09
訳H.J

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