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[社説]令和開幕を北東アジアの平和・協力の契機に

登録:2019-05-01 18:38 修正:2019-05-02 11:19
新任の徳仁天皇(左側)の横で手を振る前任の明仁天皇//ハンギョレ新聞社

 日本の徳仁皇太子が1日、新しい天皇に即位し、1989年から30年間続いている「平成」時代が暮れ、もう「令和の時代」が本格的に開幕した。戦後世代初の天皇の即位であるだけに、その意義を生かして日本が北東アジアの平和と協力に寄与する契機になることを期待する。

 天皇は第2次世界大戦以後に制定された日本国憲法で政治的執権のない国家統合の象徴として残ったが、現在も多くの日本人に影響を及ぼす存在だ。それだけに新しい天皇の就任が日本社会で持つ意味は小さくないだろう。特に平成30年間に「失われた20年」と代表される経済沈滞と福島の原発事故等で「喪失感」が大きい日本人に、今回新しく始まる令和の時代に対する期待は格別なものと見られる。ところが、過去に日本帝国主義の侵略に苦痛を受けた韓国など周辺国としては、新しい天皇の即位を見つめる視線は複雑にならざるをえない。「天皇制こそ日本帝国主義の根元」という認識が変わらずある現実で、隣国の慶事としてひとえに祝賀することは容易ではないのが事実だ。

 特に最近の日本の国内政治が大きく右傾化し、過去の帝国主義侵略を否認する声がよりいっそう力を増している状況は深刻な憂慮をもたらしている。実際、安倍晋三首相は2012年末に再度政権を握ると、帝国主義侵略と植民地支配について謝った「村山談話」「河野談話」等を無力化し、平和憲法改正や再武装化、自衛隊の役割拡大を進めている。このような形の「反省なき」戦後体制終結の試みは、その意図に対する周辺国の疑惑を呼び起こし、あつれきを増幅させるほかはない。そうでなくとも中国の浮上と米中覇権争いによって激化する北東アジア情勢を、よりいっそう不安定にさせる可能性が高い。

 前任の明仁天皇は在任期間中、沖縄やサイパンなど第2次世界大戦の激戦地を直接訪ねて犠牲者を追悼した。また、何度も日本の侵略戦争について謝り、再発防止を希望する発言をするなど「平和主義者」として深い印象を刻んだ。徳仁新天皇も今後前任の後を継いで、歴史の歯車を戻そうとする安倍首相の試みにブレーキをかける求心点の役割をすることを期待する。令和時代の開幕を機に、日本が北東アジアの善隣関係と平和に寄与する道に進むよう願う。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/892144.html 韓国語原文入力:2019/04/30 18:51
訳T.W

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