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[コラム]開城工業団地はどうすれば稼動できるのか

登録:2019-01-30 00:01 修正:2019-01-30 08:12
9日、ソウル市鍾路区の参与連帯で開城工業団地企業非常対策委員会が記者会見を行なっている=開城工業団地企業協会提供//ハンギョレ新聞社

 来月10日には開城(ケソン)工業団地の稼動が中断されて満3年になる。昨年から南北関係が改善され、開城工業団地の企業人の間で工業団地の再稼働への熱望が高まっているが、稼動再開は相変らず手が届きそうで届かない虹のままだ。この間放置された施設の点検のために先日申請した開城工業団地訪問は、今回も実現しなかった。朝鮮半島の情勢は変わったが、残念ながら開城工業団地に立ち込めた霧は去っていない。

 先週あるフォーラムの討論会に行き、シン・ハンヨン開城工業団地企業協会会長の哀訴を聴く機会があった。彼は「昨年“開城地域”に南北共同連絡事務所を設置することにした4・27板門店宣言の合意で、開城工業団地再開の希望を見た」と話した。昨年9月、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の平壌訪問に同行した時は、文大統領が自身をわざわざ呼び、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長に「開城工業団地再開を切実に望む方なので一緒に来た」と紹介し、ソウルに戻る道中では文大統領が「北も開城工業団地再開の意志がある。すぐにもできると思うと気持ちがはやる。何にでも時があるので、少しだけ我慢して待っていてほしい」と慰めたという。シン会長は「金委員長が新年の辞で『一切の前提条件も見返りもなく開城工業団地を開く用意がある』と話したので、今年の話題は開城工業団地」だと思い、希望は持ち続けているが、これまで訪朝申請が7回も失敗に終わった重い現実については苦悩を吐露した。

 開城工業団地と金剛山(クムガンサン)観光再開策をめぐり、討論会の全体的な展望も交錯した。キム・グァンギル弁護士の提案によれば、開城工業団地と金剛山観光の再開は、国連安保理と米国の対北朝鮮制裁のこまかい網をすり抜けることは難しい。これらの制裁は、2016年1月の4回目の核実験以後、制裁範囲が当初の核・ミサイル関連軍需品中心から北朝鮮経済全般に拡大した。開城工業団地の再開は、対北朝鮮金融支援禁止、繊維製品と機械類、電気機器の搬出入禁止などの制裁条項が障壁となっている。金剛山観光の場合、観光自体を阻む制裁条項はないが、宿泊施設の補修のための物資搬入などが問題になるという。

パク・ビョンス論説委員//ハンギョレ新聞社

 それでもまったく方法がないわけではない。国連制裁には「人道支援」や「朝鮮半島の緊張緩和と平和」などのためには制裁を免除できる条項があり、米国の対北朝鮮制裁強化法も大統領が「人道支援」または「民主主義的朝鮮半島の平和統一への貢献」に必要だという書面を議会に提出すれば、制裁からの例外が許される。論理的に見れば、開城工業団地・金剛山観光が朝鮮半島の平和と統一に貢献する事業であることを立証し、包括的な免除を受ければ良いわけだ。既存の制裁システムには手を付けずに、例外条項を通じて開城工業団地・金剛山観光を再開できる道があるので、あえて煩雑な制裁解除の手続きを踏む必要もない。討論会では、少ないとはいえ懸念として残る開城工業団地の賃金の軍事的転用の可能性を源泉封鎖するために、工業団地の近隣に大型スーパーマーケットを設置して、北朝鮮労働者の賃金を現物で支給する方案や、出金が制限されるエスクロー(第三者預託)口座に賃金を支給する方案も提案された。現実性の有無はさらに確認する必要があるが、その気さえあるならば、技術的な部分は何とかなるのではないだろうか。カギは結局、工業団地と観光の再開に対する米国など国際社会の共感ではないかと考える。

 2回目の朝米首脳会談が2月末に開かれる予定だ。北朝鮮の寧辺(ヨンビョン)核施設閉鎖など、非核化措置に対する米国の“相応措置”のパッケージに、開城工業団地・金剛山観光が入るのではないかという観測も出ている。125社の南側企業で5万人を超える北側労働者が活気に満ちて働いていた開城工業団地が、もう一度朝鮮半島の平和と協力の呼び水としててよみがえることを期待する。

パク・ビョンス論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/880375.html韓国語原文入力:2019-01-29 22:37
訳J.S

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