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[コラム]韓日間レーダー照射論争の自画像

登録:2019-01-01 21:14 修正:2019-01-02 08:00
航海中の海軍駆逐艦「広開土大王」艦=資料写真//ハンギョレ新聞社

 海軍の駆逐艦である広開土大王艦に搭載された「シースパロー」(Sea Sparrow)対空ミサイルは「射撃統制レーダー」のビームに誘導され発射される。軍艦に航空機が接近すれば「MW-08探索レーダー」がこれを探知する。艦長がその航空機を脅威と判断し撃墜を決心すれば、MW-08レーダーはその航空機の方位、距離、高度の情報を「STIR-180追撃レーダー」に引き渡し、STIR-180レーダーはその情報で航空機の位置を確認しビームを照射する。シースパローミサイルは、発射命令が下れば、このレーダービームが航空機に反射し返ってくる電磁波に誘導されて飛んで行き航空機を撃墜する。

 したがって、STIR-180レーダーのビームを照射することは、すなわち銃でねらうことと同じ意味になる。航空機からすれば脅威を感じざるをえない。最近、韓日間に広がっているレーダー照準論議が問題となる理由だ。日本防衛省は「広開土大王艦が20日、東海(トンヘ)上で海上自衛隊の『P1対潜哨戒機』に射撃統制レーダーを照準した」と主張し、これに対して韓国国防部は「当時漂流中だった北朝鮮漁船の探索のためにMW-08レーダーを稼動したが、射撃統制用のSTIR-180レーダーは点けてもいなかった」として対抗している。日本はついに当時哨戒機から撮影した13分7秒の動画まで公開したが、そこには真実攻防に終止符を打つほどの実体的真実が入っているわけではない。事実、誰の話が正しいのかは、日本の哨戒機が当時確保した電磁波を正確に公開すればすぐにでも確認できることだが、日本は軍事機密だとして公開を拒否しているので、結局今回の事態は攻防だけで終わる公算が高い。

 日本が今回の論議を攻勢的に提起する姿から政治的理由が疑われるのは事実だ。安倍晋三政権が最近、防衛大綱で明らかにした国防力強化計画の名分を得るための布石であるとか、下がりつつある支持率を浮揚するための意図的な対立助長という分析が出ている。内心がどうであれ、国内で政治的名分を得るための挑発対象に韓国を正照準した点は苦々しい。

 日本には過去にも外国とレーダー照準攻防を行った前例がある。尖閣諸島(中国名:釣魚島)領有権紛争が真っ最中だった2013年2月、日本は東シナ海海上で中国の駆逐艦が海上自衛隊の護衛艦に対し射撃統制レーダーを照射したとし、抗議したことがある。これに対して中国も「事実でない」と強く否定して出て、しばらく論争が続いた。類似の攻防が今回韓日間で起きたことは、両国関係に示唆するところが多い。

 最近の韓日関係が難しいことは言うまでもない。約50年前に日本軍「慰安婦」や強制徴用問題などを縫い合わせた韓日請求権協定の結び目が最近になって再び解けて、これまで両国関係を支えてきた1965年韓日条約体制が足下から揺れている。韓国政府は過去の問題を他の懸案と分離する方針だが、今回の事態はこうした“ツートラック”路線もきわどい綱渡りになりうると警告しているようだ。

パク・ビョンス論説委員//ハンギョレ新聞社

 事実、韓日間の1965年体制を可能にした環境と条件は、とっくに変わった。脱冷戦以後、冷戦論理により抑えられてきた普遍的人権意識が高まり、過去の日帝による野蛮な暴力は、普遍的人権の脈絡で再び照明を当てられている。一方、その間両国を緊密に縛ってきた経済・安保協力は、韓国の経済成長と南北関係改善などにより、その重要性が大幅に低下した。古い枠組みが解体過程に入った局面と見える。それでも、これに代わる新たな展望はまだ視野に入って来ていないので、当分はきしまざるを得ない韓日関係が心配だ。

パク・ビョンス論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/876575.html韓国語原文入力:2019-01-01 19:29
訳J.S

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