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[社説] 世界の原発は「ルネサンス」という虚構

登録:2018-12-06 22:36 修正:2018-12-07 10:00
昨年7月27日、ソウル鐘路区の世宗文化会館前の階段で開かれた「安全な世の中のための新古里(シンコリ)5・6号機白紙化市民行動発足式」//ハンギョレ新聞社

 マイケル・シュナイダーら世界的なエネルギー核政策専門家グループが作成した今年の「世界の原子力発電所産業現状報告」が6日、韓国内で紹介された。報告書を要約すれば、原発産業は1980年代以降衰退の基調が一度も変わっておらず、その速度はますます早くなっているということだ。今が「世界の原発のルネサンス時代」という国内の原発業界や一部専門家の主張と正反対になる分析だ。

 報告書は徹底的に統計に基づいている。1950年代以降、年度別に全世界で建設中の原発の数、建設着工数、発電量、発電割合、運営数などの数値を総合して分析の正確性を高めたと評価される。特に目を引く大きな点は、部分的統計だけ見た場合の錯覚効果を具体的に指摘したものだ。原発は建設期間が長く事業が遅れたり中断される場合が多く、原発産業の未来をきちんと見込むには年度別の建設開始数を調べなければならないという指摘が代表的だ。建設開始の数は1976年の44機(22機は中断)から今年中盤には2機まで落ちている。

 原発産業衰退の原因としては天文学的な建設費用と度重なる建設遅延・中断、使用後の核燃料処理および廃炉費用の増加などにともなう低い経済性を指定している。実際に建設が長く遅れ、費用が雪だるま式に増えて事業を中断する例が増加しているという。最近、日本政府と三菱重工業がトルコの原発建設事業を中断する方向で折り合いをつけたという報道がそのような例だろう。

 国内では相変らず原発を「最も経済性が高いエネルギー源」と称賛し、「世界は拡大の一路を歩んでいるのになぜ韓国だけ脱原発に向かうのか」という主張が絶えない。断片的な事例や数値を好き勝手に取捨選択した、世界の原発産業の流れとは正面からくいちがう誤った主張にすぎない。

 報告書は多少の誤差が出ることを前提に、2063年には全世界が「原発ゼロ」に達すると展望している。いまだ建設中の韓国の新古里(シンコリ)5・6号機の寿命は60年だ。この報告書に従うならば、韓国の原発の寿命が終わる前に世界は原発ゼロ時代に入るわけだ。それなのに原発ゼロの期限さえ釘を刺していない文在寅(ムン・ジェイン)政権のエネルギー転換政策をめぐって「原発産業のガラパゴスになろうとしている」と猛非難していることは、政治的かつ意図的なものとしか見られない。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/873372.html韓国語原文入力:2018/12/06 18:45
訳T.W

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