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[社説]初の判事逮捕令状で改革の岐路に立たされた最高裁

登録:2018-12-04 02:53 修正:2018-12-04 07:01
「司法壟断」2人の判事に逮捕令状
後追いの意見収れん、司法行政後退の懸念
権力操作を批判した判事は再任審査で脱落
キム・ミョンス最高裁長官//ハンギョレ新聞社

 検察は3日、司法壟断事件に関連して裁判所事務総長出身のパク・ビョンデ、コ・ヨンハン最高裁判事に対して、職権乱用などの疑惑で拘束令状を請求した。最高裁の判事出身者に対する令状請求は韓国司法史上初めてだ。偶然にもこの日、司法壟断にかかわった裁判官に対する懲戒委員会が開かれ、最高裁(大法院)の庁舎では「司法行政制度改善に関する裁判所討論会」も行われた。司法府全体が司法壟断を断罪して制度改革を成し遂げる過程で重大な岐路にあることを象徴する日だった。しかし、さまざまな面から今後の展望はそれほど楽観的でなく、非常に残念だ。

 アン・チョルサン裁判所事務総長はこの日、全国の裁判所に生中継された討論会で「法廷の内外で直接国民と疎通する裁判所の皆さんの意見を聞く手続きが絶対に必要だ」として、裁判所事務総局の改編に関する意見を積極的に出してほしいと注文した。最高裁は5日から全国の判事の見解を問うアンケート調査をし、7日には全国裁判所長会議を開いてやはり意見を聞く予定だという。

 司法の行政当事者である裁判官など構成員の意見を聞くのはもちろん必要な手続きだ。しかし、あまりに遅いだけでなく順序と手続きが誤っている。キム・ミョンス最高裁長官は3月、国民の意見を聞いて司法改革をするとして、名前も「国民と共にする司法発展委員会」と名づけた諮問機構を設けた。10月には司法発展委の議論の結果に基づいて推進団まで作り、そこで法案の草案まで最高裁に提出している状態だ。

 キム長官はこれまでに裁判所事務総局を廃止するという強い意志を明らかにもしている。ところが、法案まで出てきた時点で後追いで世論収拾に乗り出したので、「内部反発のために法案を後退させようとする手順ではないか」という憂慮の声が出てくるのは当然だ。

 パク・ビョンデ元最高裁判事に対しては、日帝の強制徴用の裁判介入などすでに起訴されているイム・ジョンホン元事務総局次長に適用された疑惑以外に、徴用事件の被告代理の法律事務所との裏接触など、数件の疑惑も出ているという。司法行政に批判的な判事に対する人事不利益文書に署名した事実も分かったという。コ・ヨンハン元最高裁判事は、釜山の建設業者のわいろ事件などさまざまな裁判に介入して判事査察を指示するなど、司法壟断に主導的に関与した疑惑だ。それでいて最高裁判事一同の名で二度も裁判取り引きの否認声明を出すようにしたのだから、他の最高裁判事を脇役にしたレベルを越え、最高裁に対する国民の信頼を決定的に落としめた格好になった。すでにキム長官が特別調査団の時から事実上「イム・ジョンホンのラインで尻尾切り」の態度を見せたため、二人の元最高裁判事に対する拘束令状が公正に審理されるかも疑問だ。

 ヤン・スンテ最高裁長官時代に「指鹿為馬(上司をだまして権力を行使する)判決」に対する批判などで良く知られたK部長判事が再任審査で1次選考落ちしたという事実はお笑いに近い。過去の報復的な勤務評定のせいだというが、「キム・ミョンス最高裁」の及び腰の断罪改革を象徴する事例のようで後味が悪い。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/872848.html韓国語原文入力:2018/12/03 19:14
訳T.W

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