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[コラム]トランプの娘への愛

登録:2018-11-22 22:11 修正:2018-11-23 07:49
ドナルド・トランプ米大統領が10月11日、ホワイトハウスで「人身売買対応省庁合同タスクフォース」会議と関連して演壇に立ち、娘のイバンカ氏から紹介されている=ワシントン/EPA 聯合ニュース

 ニッキー・ヘイリー国連駐在米国大使は先月9日、ホワイトハウスで「年末辞任」を発表して、たった二言で横に座っていたドナルド・トランプ大統領を笑わせた。一つは「2020年の大統領選挙には出ない」ということで、もう一つは「イバンカ夫婦称賛」だ。ヘイリー大使は、トランプ大統領の長女のイバンカ大統領補佐官を「良い友達」、その夫のジャレッド・クシュナー大統領先任顧問を「隠れた天才」と表現して「イバンカ夫婦が行政府にいるので私たちはより良い国になった」と話した。この発言に触発された「イバンカ国連大使説」をトランプ大統領は楽しんだ。彼は記者たちに「イバンカ以上に競争力のある人は世の中にいないだろう。イバンカがやったら驚くほど上手くやるだろう」と娘自慢をして見せた。それと共に「だが、ネポティズム(縁戚政治)という批判を受けそうだ」と付け加えた。

 トランプ大統領と最初の夫人イバナとの間に生まれたイバンカとその夫を、就任と同時にホワイトハウスに呼び入れた時からネポティズム論議は激しかった。ジョン・F・ケネディ大統領が弟のロバート・ケネディを法務長官に任命したことを契機に、大統領の家族を政府職に任命できなくする法が作られたが、トランプ大統領は行政府の傘下でない“大統領を助ける人材”を雇用できる特別雇用権限を利用して、長女夫婦にホワイトハウスでの職責を付与した。

 イバンカは各種首脳会談にも同席して、今年2月には平昌(ピョンチャン)冬季五輪に米国代表団の団長として韓国を訪問するなど、活発な対外活動をしている。11・6中間選挙の時も父親から「勇気ある果敢な人」と紹介され、応援遊説の演壇に上がった。最近では「ファーストレディ」(メラニア)と「ファーストドーター」(イバンカ)の神経戦のために、ホワイトハウスの参謀たちが二人の役割分担に困っているという米国マスコミの報道も出ている。

 大統領の家族のホワイトハウス勤務は危険性を内包している。非営利団体「ワシントンの責任と倫理のための市民たち」(CREW)が指摘するように、「イバンカ夫婦のホワイトハウス勤務は、二人の最高の忠誠対象が憲法なのかトランプ大統領個人なのかという疑問」を呼び覚まさざるをえない。行政府の公職者が政策・人事問題などに率直な意見を言わなくさせる弊害も無視できない。スティーブ・バノン元ホワイトハウス首席戦略官は、イバンカに向かって「君は責任者のように行動しているが、君はただのくそったれ参謀にすぎない!」と言って喧嘩したというが、今はそんな度胸を持っている参謀も見当たらない。

 最近再び火が点いたイバンカの「個人Eメールアカウント使用」問題に対して、トランプ大統領が見せた態度もまたネポティズムの否定的側面を呼び起こす。2016年の大統領選挙の時、ヒラリー・クリントン候補の「Eメールスキャンダル」に「嘘つきヒラリー」として「監獄に入れろ」と叫んだ彼は、「イバンカはヒラリーのようにEメールを機密に分類しなかったし削除もしなかった」として「ヒラリーとは違う」と話した。イバンカに対する無限の愛と、ヒラリーに対する心底深い憎しみが合わさり、最小限の“遺憾”表明という廉恥も入る隙がない。

ファン・ジュンボム・ワシントン特派員

 イバンカ夫婦もまた、トランプ大統領と同じく事業家なので、公務と私益追求が入り乱れる可能性も残っている。イバンカは、トランプホテルの持分を父親と共同保有していて、米国と貿易戦争中の中国から昨年に続き先月もファッション製品の商標権の承認を受けた。これらすべてが来年から下院多数党になる民主党の調査目録に入っている。もし民主党が、イバンカ夫婦を名指しして攻撃する日が来れば、その時がおそらくトランプ大統領のレームダックの本格的な開始となるだろう。大統領の最も近くで核爆弾がさく烈するのを、私たちは多く見てきた。

ファン・ジュンボム・ワシントン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/871388.html韓国語原文入力:2018-11-22 18:25
訳J.S

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