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ウォーターゲートのスクープ記者が暴露した「ホワイトハウス裏話」本に騒然

登録:2018-09-06 06:22 修正:2018-09-06 09:56
「ウォーターゲート」報道で知られるボブ・ウッドワード氏 
『恐怖:ホワイトハウスのトランプ』11日に発刊 
今年初め「なぜ財源使わねばならないかのか」と在韓米軍に疑問を呈す 
参謀ら、机から韓米FTA廃棄書簡を密かに片づけたことも 
トランプ大統領「ウッドワードは大衆に詐欺を働いている…民主党の工作員なのか」
ボブ・ウッドワード氏の著書『恐怖:ホワイトハウスのトランプ(Fear: Trump in the White House)』の表紙//ハンギョレ新聞社

 ドナルド・トランプ米大統領が昨年1月に就任した後、北朝鮮に対する先制攻撃対策をまとめるよう参謀に指示し、今年初頭には在韓米軍駐留の必要性に疑問を呈したという主張が出た。また、韓米自由貿易協定(FTA)と北米自由貿易協定(NAFTA)からの脱退を防ぐため、参謀らがトランプ大統領の机から関連文書を密かに片づけたというエピソードも公開された。

 リチャード・ニクソン大統領の辞任につながったウォーターゲート事件を調査報道したボブ・ウッドワード「ワシントンポスト」編集主幹が11日に出版する本『恐怖:ホワイトハウスのトランプ(Fear: Trump in the White House)』の主要内容が4日(現地時間)、ワシントン・ポストとCNNなどに公開され、ワシントンが大騒ぎになっている。448ページの同書はウッドワード氏がトランプ大統領のホワイトハウスで働いた行政府官吏などを数百時間にわたりインタビューした内容を土台に書いたものだ。同書のタイトル(「恐怖」)は2016年、トランプ当時大統領候補がウッドワード氏とのインタビューで「本物の権力とは、このような言葉は使いたくないが、恐怖だ」とした発言から取った。

 同書には外交・安保や経済など対外政策で浮き彫りになっているトランプ大統領の「背景知識の不足」や「即興性」、「予測不可能性」を示すさまざまなエピソードが盛り込まれている。特に、朝鮮半島をめぐる危機一髪の出来事が描かれている。

 昨年1月に就任したトランプ大統領は、1カ月後にジョセフ・ダンフォード合同参謀議長に、北朝鮮に対する先制攻撃計画を立てるよう指示した。これを聞いたダンフォード議長は大いに狼狽したと、ウッドワード氏は記述した。当時は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が新年の辞で、北朝鮮が「大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発の最終段階」に来ており、「核武装中心の先制攻撃能力の持続的な強化」を主張した状況だった。トランプ大統領(当時当選者)が「北朝鮮は米国を攻撃できる核兵器を開発できないだろう」と対抗したことで、朝米間の「先制攻撃論」が激しさを増していた時期だった。

 さらに、トランプ大統領が昨年9月、国連総会演説で金正恩委員長を「リトル・ロケットマン」と呼んだ際、参謀らはその言葉が金委員長を刺激することを懸念した。しかし、トランプ大統領は「これはリーダー対リーダーの問題だ。男対男、私と金(正恩)の問題」だとし、当時の緊張状況を男性同士の「意地の戦い」として捉えていたと、ウッドワード氏は記述した。

 トランプ大統領は、朝米の間に依然として緊張感が漂っていた今年1月19日、国家安全保障会議(NSC)で「なぜ米国が朝鮮半島に財源を使うべきなのか」と疑問を呈するなど、在韓米軍の駐留の重要性を無視した。北朝鮮がミサイルを撃った場合、アラスカでこれを検知するまでは15分かかるが、在韓米軍は7秒で確認できる。ジェームズ・マティス国防長官はこれについて、「我々は第3次世界大戦を防ぐためにこれ(在韓米軍の駐留)を行っている」と説明した。マティス長官はトランプ大統領が会議会場を去った後、同僚らに「大統領が5~6年生のように行動しており、その程度の理解力を持っている」と話したと、ウッドワード氏は著書で明らかにした。

 また、昨年4月、シリアのバッシャール・アル=アサド大統領が、民間人に化学兵器による攻撃を行った際、トランプ大統領はマティス長官に電話をかけて「XX、彼を殺してしまおう。(シリアに)入ろう」と話した。しかし、当時安保チームは「暗殺」の代わりにシリア軍基地に対するミサイル攻撃を選んだ。ジョン・ケリー秘書室長は、このような大統領を同僚らに「愚か者(idiot)」だと表現した。

 トランプ大統領の一方主義の貿易政策を防ぐため、参謀たちが大統領の机から密かに書類を片づけたエピソードも紹介された。ゲリー・コーン元ホワイトハウス国家経済委員長は、韓米自由貿易協定から脱退する内容の書簡を「トランプ大統領の机から盗む」大胆なことをした。コーン元委員長は後に同僚に「国家安保のために書簡を片付けており、トランプ大統領はそれが消えたことに気づいていない」と話した。トランプ大統領が韓米自由貿易協定を廃棄する意向をほのめかした昨年9月頃のことと推定される。NAFTAもトランプ大統領の指示に従ってロブ・ポーター秘書官が脱退書簡の草案を書いたが、コーン元委員長はポーター氏に「私が止める。その紙を大統領の机から片付ける」と話したという。

 同書には、トランプ大統領が、前任大統領と自分の参謀らに対し、侮辱的発言をした事例も出てくる。トランプ大統領がリンゼイ・グラハム上院議員と対話しながら、バラク・オバマ前大統領に対し、男性の性器を意味する言葉を使って「弱虫(weak dick)」と話したということだ。彼は他の人たちとの会話でも、ジェフ・セッションズ法務長官を「精神的に遅滞している。間抜けな南部出身」とし、ラインズ・フリーバス初代秘書室長についても「ねずみ野郎のようにちょこちょこしている」と表現した。

 トランプ大統領の娘イバンカ・ホワイトハウス上級顧問とスティーブ・バノン・ホワイトハウス首席戦略官が衝突した場面も描かれている。バノン氏がイバンカ氏に「ここの責任者であるかのように行動しているが、君はXX職員に過ぎない」と言うと、イバンカ氏が「私はただの職員ではなく、ファースト・ドーター(大統領の娘)だ!」と言い返した。

 トランプ大統領はウッドワード氏の著書の内容に反ばくした。彼はマティス長官とケリー秘書室長が「そんなことを言ったことはない」として発表した声明と、「この本は捏造した話に過ぎない」というホワイトハウスのサラ・ハッカビー・サンダース報道官の声明をツイッターに掲載した。さらに、「ウッドワードの本はマティス長官とケリー秘書室長によって否定された。彼らの発言は捏造されており、大衆に対する詐欺だ。他の話や発言も同じだ。ウッドワードは民主党の工作員なのか? (中間選挙の)タイミングを狙ったのか?」と書き込んだ。また、「私がセッションズ長官を『精神的に遅滞している。間抜けな南部出身』と表現したと言うが、誰にもそんなことを言ったことはない。そして南部出身であることは長所だ。ウッドワードは仲違いさせようとこれを作りあげた」と主張した。トランプ大統領はウッドワード氏が同書の原稿を完成した先月、電話で彼に「悪い本」になると警告したと明らかにした。

ワシントン/ファン・ジュンボム特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/860766.html韓国語原文入力:2018-09-05 20:45
訳H.J

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