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[社説]性接待を強要された女優の自殺、いまこそ事件の真実解明を

登録:2018-03-25 22:30 修正:2018-03-26 09:05
故チャン・ジャヨンさんなど無念の死を迎えた女性芸能人らの慰霊神事。重要無形文化財第72号の珍島修祓保存会のカン・ウニョン氏が踊りながらチャンさんを魂を鎮めている=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 2009年に「性接待強要」の事実を暴露して自殺した俳優チャン・ジャヨンさんの事件の再捜査を望む大統領府国民請願の参加者が、25日で22万人を超えた。大統領府の首席秘書官または関連部署の長官が公式に返事を出すことにしている「一カ月内の20万人参加」の基準を満たした。「権力型の性暴行事件」に対する国民の怒りがにじむ真相捜査要求に大統領府が答えるべき番になった。当時事件を捜査した検察も国民の意思に応じなければならない。

 この事件の重要なきっかけは、チャンさんが自ら命を絶つ前に残した「チャン・ジャヨン文書」だ。この文書にはマスコミ社長、放送局のディレクター、財界の有力者に何度も酒の接待と性接待をしたという内容が書かれていた。チャンさんはこの文書で絶えず酒の席を強要されて精神科の治療を受け、接待しなければならない相手と寝ることを強要されたという告白もした。母親の命日なのに法事にも出られず酒の席に呼ばれたという悲痛な内容もあった。チャンさんはこの文書で朝鮮日報社主の家族に言及もしている。

 当時の捜査機関は、この事件が国民的関心事になるとすぐに大々的に捜査を始めたが、事件の核心の「性接待強要」は暴けないまま枝葉の捜査に留まった。チャンさんの所属会社の代表とマネジャーが暴行などの容疑で起訴され、執行猶予の宣告を受けただけで、残りの人物は処罰どころか一部は取り調べもまともにされなかった。報道機関の社主が関連していたため、一貫して手抜き捜査したという指摘が絶えなかったが、事件はそれで終結してしまった。

 チャンさんの事件は、最近韓国社会を揺るがしているMeToo(ミートゥー)運動の原点といえる。チャンさんが残した文書の内容は、限りなく繰り返されてきた権力型の性暴行の一つの形だ。チャンさんは命まで投げ出して自分が受けた痛みを世の中に知らしめた。大統領府の掲示板に「チャンさんの死の真実を明らかにしてほしい」という請願をした人は「無力でコネのない人が花のように美しい年齢で自分の生を恨みながら命を絶ち、(加害者が)ぬけぬけといい暮らしをしているこのような社会を文明国といえるのですか」と書いている。無視できない問いかけだ。検察の過去事委員会は26日、チャンさんの事件を再調査するかどうかを決める予定だという。過去事委が正しい決定を下し、事件の真実が今からでも全て明らかになることを願う。それが故人の悔しさを少しでも晴らすものであり、そして次のチャン・ジャヨンさんが生まれない世の中を作る道だ。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/837594.html韓国語原文入力:2018/03/25 18:04
訳T.W

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