土地は初めからあったものであり、誰かが作ったものではない。人が労働力を投入して土地の利用価値を高めることはできる。しかし、今日の土地の価値上昇は大部分が土地所有者の努力よりは国家と地方政府などの社会インフラ投資によって起きている。ところが、その利得がそっくりそのまま土地所有者のものとなる時、土地は資産増殖の手段となり投機の対象となる。土地の所有集中と急激な価格上昇は資産所得の不平等を育て、人々の労働意欲を失わせる。限られた土地を共同体のために効率的に利用する事も妨害する。多くの先進資本主義国家で土地に重く課税し、公共の利益のため土地所有権行使に各種の制限と義務を付加する理由がここにある。
韓国は1948年に農地改革で農地所有の集中問題を解決した。農地改革は高度経済成長の制度的基盤となった。しかし、都市化の進捗とともに土地問題は次第に深刻化した。土地価格は1964年1兆9300億ウォン(約1900億円)から2016年6981兆ウォン(約690億円)へと3617倍上がったが、土地所有は上位1%が全個人所有の26%を、上位10%が65%(以上2013年基準)を占めているほどに少数に集中している。2016年の1年間に土地価格は全部で409兆ウォン(約40兆円)も上がった。 これは同年の国内総生産の26.2%に相当する規模だ。韓国の経済と社会が一段階さらに成熟するには、土地・不動産投機が横行し不労所得である地代が所得分配を牛耳っている旧態を一日も早く脱しなければならない。
1987年に改定された憲法に「土地公概念」が書かれてはいる。個人の財産権を公共福利増進のために制約することを可能にし、国土の効率的かつ均衡ある利用・開発と保全のために、法律の定めるところによって制限と義務を課することができると規定した。しかし、憲法裁判所の過去の決定は、韓国の土地問題の深刻な現実を無視することが少なくなかった。1989年の盧泰愚(ノ・テウ)政権時代、宅地所有の上限に関する法律などいわゆる「土地公概念3法」に対し、違憲または憲法不合致の判決を下したのが代表的な例だ。 2008年には総合不動産税法の世帯別合算課税条項に違憲判決を下した。
現在進行中の「再建築超過利益還収制度」関連の憲法訴願においても、憲法裁判所が違憲判決を下しはしないだろうと期待する。しかし、憲法に土地公概念条項を明確にしてこそ、国会での立法が違憲論議なしに効力を発揮することができるだろう。
大統領府は21日、大統領改憲案を説明して「社会的不平などの深刻化する問題を解消するために、『土地の公共性と合理的使用に必要な場合に限り特別な制限や義務を付加することができるように』土地公概念の内容を明示した」と明らかにした。 必ず、そして至急、改正憲法に盛り込むべき内容だと考える。