文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、大統領4年再任と基本権・地方分権の強化などを中心とする改憲案を26日に発議することにした。文大統領はまた、発議に先立ち、20日から3日間チョ・グク大統領民政首席を通じて大統領の改憲案内容を国民に詳細に報告するなど、国民への説得作業に乗り出すことにした。改憲案発議の時期を、当初大統領府が公言した21日から5日遅らせたが、国会が6・13地方選挙と国民投票を当時に実施する独自の改憲案に合意できない場合、大統領案を国会の採決を経て国民投票に付すと公開的に宣言したのだ。しかし、第1野党の自由韓国党の強力な反対で、大統領案の国会通過が容易ではない状況で、文大統領のこのような改憲の時刻表の提示は、対国民世論戦を通じて国会の改憲案合意を導こうとする政治的勝負手とみられる。
チン・ソンジュン大統領府政務企画秘書官は19日、春秋館で記者会見を開き、「文在寅大統領が改憲案を26日に発議できるよう準備に万全を期するよう指示した」とし、「このような指示は、憲法と法律が定めた手続きや期間を遵守しつつ、国会が改憲に合意できる最後のチャンスを与えるためだ」と述べた。チン秘書官は「当初、文大統領が22日から28日まで海外歴訪の日程を考慮し、帰国後発議することも検討したが、憲法が定めた国会審議期間60日を保障してほしいという与党の要求を受け入れたもの」だと付け加えた。大統領が発議する改憲案は国務会議審議案件(憲法第89条3項)であり、李洛淵(イ・ナクヨン)首相が閣議を開いて審議した後、文大統領がアラブ首長国連邦の歴訪中、電子決裁で発議する形になる。大統領府関係者は「発議と同時に公告する」と話した。
憲法第130条1項は「国会は憲法改正案が告示された日から60日以内に議決しなければならず、国会の議決は、在籍議員3分の2以上の賛成を得なければならない」と定めており、国会は独自の改憲案に合意しない限り、大統領案を表決に付さなければならない。チン秘書官は「文大統領が最後まで国会の合意を尊重する立場を示すと共に、国会が迅速に論議して合意してくれることを改めて呼びかけた」とし、「国会が(改憲に)合意すれば、文大統領はそれを尊重する」と強調した。 与野党の合意で国会が改憲発議の主体になるなら、大統領案を取り下げることもできるという意味だ。
問題は、改憲の内容と手続きについて与野党の主張が今のように平行線を辿る可能性が高いということだ。 さらに、自由韓国党が大統領主導の改憲に強く反対しており、大統領案が表決に付される場合、国会の敷居を越えるのは容易ではないと見られる。国会議席は293人で、改憲案が国会で可決されるためには196人の賛成が必要だが、政党別議席は共に民主党が121人、自由韓国党116人、正しい未来党が30人、民主平和党が14人、正義党が6人だ。自由韓国党の全議員が反対すれば否決されることになる。
文大統領はひとまず再任が可能な4年任期の大統領制を基本に、大統領の権限を分散し、国民の基本権と地方分権を拡大する内容の大統領の改憲案に対する国民的支持をもとに、国会を突破する構想を持っている。このため、20日から対国民説得に向けた総力戦に乗り出す。チン・ソンジュン秘書官は「文大統領は改憲案に対する国民の理解を高めるために、分野別に国民に詳細に公開し説明するよう指示した」と伝えた。これによって20日には憲法前文と基本権、21日には地方分権と国民主権、22日には政府形態など憲法機関の権限と関連された事案をそれぞれ公表する予定だ。大統領案の説明はチョ・グク民政首席が担当する。大統領府関係者は改憲案を3日にわたって公開して説明する理由について、「改憲内容がかなり多く、国民に詳細に説明して理解を求める上で制約があると思っている」とし、「(3回にわたって)に分けて公開することが基本権や地方分権などに対する国民の理解と関心を高めるのに役立つと思う」と話した。文大統領を含めて大統領候補全員が「6・13地方選挙と改憲国民投票の同時実施」を公約した昨年5月当時に比べると、比較的に関心が遠のいた改憲に対する国民的支持を最大限に引き上げ、国会を突破する動力を見出すと共に、“国民の圧迫”で国会の改憲案合意を導くということだ。
文大統領は22~28日に予定されたベトナムとアラブ首長国連邦の歴訪後、大統領府に与野党代表を招待して歴訪の結果を説明し、改憲に向けた国会説得にも乗り出す計画だ。大統領府関係者は「26日、大統領の改憲案を発議した後、4月の臨時国会が開かれれば大統領が国会に出席して演説する案も検討している」と話した。
これと共に大統領府は、文大統領の改憲案が国会の敷居をまたぐことができない最悪の場合にも備えているという。大統領府関係者は「文大統領が発議する改憲案は第20代国会の会期中は有効だ」と話した。6・13地方選挙との同時改憲に失敗しても、今回提示した改憲案に対する国民の熱望をもとに、2020年の総選挙などで再度改憲を試みるということだ。