チョ・グク大統領府民政首席が権力機関の構造改革案を発表した後、警察の肥大化を憂慮する声が少なくない。実際、警察の権限が大きくなるのは事実だ。高位公職者に対する捜査権は高位公職者不正捜査処(公捜処)に移り、検察は経済・金融など制限された分野の直接捜査権だけを持つようになる反面、警察は残りの一般事件に対する1次捜査権と共に、国家情報院が行使してきた対共捜査権まで保有することになる。すでに10万人を超える巨大な警察組織が、追加権限まで持つことになれば、それこそ“恐竜組織化”するのではないかとの憂慮が出てくるのも無理はない。
大統領府はこれを防ぐために、自治警察制を導入し捜査警察を行政警察から分離する方案を出した。権力機関相互間の牽制と均衡のためにも必ず必要だ。そうなれば、国家警察は現在の枠組を維持し、全国単位の治安や保安・外事のような領域を引き受け、自治警察は地域交通や警備・生活関連治安など地域住民密着型の業務を遂行することになる。また、捜査を専門担当する国家捜査本部は、警察庁長官など行政警察の指揮を受けないよう、人事から捜査まで独立的に運営しなければならない。警察庁長官が直轄してきた直接捜査部署を廃止して、国家捜査本部長を外部開放職として任期を保障するなど、捜査警察を行政警察から完ぺきに分離することが必須だ。
捜査権の分割に対して警察の一部では不十分だという主張を出している。ファン・ウンハ蔚山(ウルサン)警察庁長官は14日、フェイスブックに上げた文で「検察は比較的幅広い捜査権を認められた」として「大統領令で検察の直接捜査部署を廃止すること」を提案した。当初警察改革委が提案した通り、経済・金融事件を含む一切の捜査権を警察に渡してほしいという主張だ。しかし、捜査権問題が検察と警察の間の権限争いに流れてはならない。国民の人権保障と便益が最優先基準にならなければならない。現在、検察も警察も国民の信頼を得るのに不十分であるのは“五十歩百歩”だ。権限をくれという前に、誤った過去を自ら整理して人権捜査の意志を顕著に見せるならば、国民の方から先に権限を譲り渡せと要求するだろう。
龍山惨事、双龍自動車鎮圧に続き、最近のペク・ナムギ農民事件まで、警察の後進的人権意識を示す事件は依然多い。警察がこの間、広範囲な人権捜査と改革方案を出したが、制度さえ作れば、自ずから国民の信頼を得られるわけではないことを悟ることを望む。