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[社説]文大統領の「訪中」めぐる論議と非難は行き過ぎだ

登録:2017-12-15 22:45 修正:2017-12-16 07:04
文在寅大統領が15日、中国の北京大学を訪問し「韓中青年の力強い握手、共に作る繁栄の未来」を主題に講演している=北京/聯合ニュース

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領の中国国賓訪問の成果をめぐり、韓国の一部での批判が激しい。訪中前から「共同発表文がない」 「空港出迎えを次官補級がした」などの指摘をしていたが、14日の首脳会談以後には「新しいものがない」 「中国がTHAAD問題を再び持ち出した」 「文大統領が訪中期間に一人でご飯を食べた」などと攻撃を加えた。さらに洪準杓(ホン・ジュンピョ)自由韓国党代表は「習近平に謁見しに行った」とまで話した。

 度を越した非難だ。訪中の成果に対する行き過ぎた酷評であり、国内政治上の目的のために行きすぎた攻勢を浴びせている。大統領の首脳外交に対する評価は、見る視角により多様になりうる。だが、今回の訪中を見れば、文大統領と習近平主席が、戦争不可と朝鮮半島非核化など「朝鮮半島平和4原則」に合意し、首脳間ホットラインの構築、および平昌(ピョンチャン)冬季五輪の成功的開催を約束し、李克強首相は韓中経済・貿易省庁のチャンネルの再稼働を宣言するなど、高く評価できる点も少なくない。また、習主席が「THAAD」と「3NO」に直接言及せず、文大統領も「北朝鮮への原油供給中断」を要求しないなど、互いに配慮する姿も見えた。

 振り返ってみれば、今回の訪中は1年6カ月間に及ぶ「THAAD軋轢」以後、韓国大統領の初めての中国訪問だ。これまで政府のみならず、両国の国民も心に大きな傷を負った。しかも、THAAD問題は完全に解決されたわけでなく、韓中共に未完のまま残さざるをえないのが現実だ。したがって、今回両国首脳が向かい合って座り、協力を約束したことだけでも、その意味は決して小さくない。両国間の軋轢が、韓中国交正常化25周年の今年を越さずにケリをつけられた点も評価に値する。

 中国側の歓待が、多少粗雑だったと感じられる点はある。だが、文大統領が訪中で言及した「相手の立場で考える」姿勢で考えてみる必要がある。習主席が何度も「THAADは中国の核心利益に関わる問題」と話したが、今もTHAADは韓国に配備されている。こうした状況で、韓中関係が最上の状態にあるかのように想定して、すべての事案を眺めることの方がむしろ非現実的であろう。文大統領の中国訪問は、韓中関係が再び正常化に進む第一歩に過ぎない。

 「相手の立場で考える」姿勢は、中国側にも必要だ。中国は、THAADを巡る軋轢を終わらせ、韓国との友好関係を回復することが、国益と北東アジア情勢の安定に役立つという点を明確に認識しなければならない。北朝鮮核問題解決のため、韓米との緊密な協力、そして「朝鮮半島非核化」という目標を共有するのは、韓国だけでなく中国にとってもきわめて切実なことであろう。特に、韓国の記者に対する暴行の件に対して、中国政府が厳正に処理することが中国の国際的地位を回復するのに役立つことを知らなければならない。

 背景と意味を無視して、細部の事案一つ一つに善し悪しをつけて、訪中成果のこき下ろしに没頭するような韓国国内の一部の見解は合理的でないだけでなく、誰の役にも立たない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/823751.html韓国語原文入力:2017-12-15 19:58
訳J.S

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