本文に移動

[コラム]トランプの国会演説と習近平のソウル大での講演

登録:2017-11-09 22:47 修正:2017-11-10 08:22
ドナルド・トランプ大統領が今月8日午前、国会本会議場で演説している。米大統領が韓国国会で演説したのは1993年ビル・クリントン大統領以来24年ぶりのことだ=カン・チャングァン記者//ハンギョレ新聞社

 ドナルド・トランプ米大統領の初の韓国訪問を見て、3年余り前の習近平中国国家主席の訪問が重なって見えた。

 両首脳の訪韓日程はともに1泊2日だった。今回トランプ大統領の訪問が、中国・日本(2泊3日)より短いとして韓国の一部が憂慮したように、その時も習主席の日程のために焦れた人々がいた。当時、習主席はブリックス(ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ共和国)首脳会議出席などのための南米歴訪を控えていた。あるいは習主席が南米に行く途中で韓国にちょっと立ち寄る形で、韓国を“ワン・オブ・ゼム”扱いしているのではないかという憂慮であった。結局、習主席が韓国だけを訪問することに整理されて、彼らを安心させた。

 今回、トランプ大統領は日程の調整がなかった。日本訪問の3日目に特別な日程を定めなかったことが韓国に対する配慮だというマスコミ報道が出てきたが、憂慮は静まらなかった。韓国国内にはこのような各種儀式と日程を比較して、米中が韓国を冷遇するのではないかと神経を尖らせた人々が多い。

 もちろんそれも重要だが、トランプ大統領と習近平主席の訪韓日程で一層気になったことは、二人がそれぞれ北朝鮮と日本に対して示した内心であった。両首脳は、一国の首脳と一緒にいる時にはしない話を自身の演説や講演では果敢に持ち出した。調整された見解だけが公開される外交の席上では決まった話だけにしても、自分だけの舞台では本来の姿を果敢に出すわけだ。

 トランプ大統領は、昨年の選挙時から一貫して北朝鮮に対してあくどい言葉を慎まなかったが、7日の文在寅(ムン・ジェイン)大統領との首脳会談では「軍事的措置の他に使えるすべての道具を使う準備を備えている」というなど、非常に自制した痕跡が歴然としていた。米国のマスコミも一変した語り口に驚いた。しかし長続きはしなかった。翌日のトランプ大統領の国会演説は、脱北民からでもよく聞きそうな凄惨な回顧談に他ならなかった。話は自然と北朝鮮は地獄でありその指導者は暴君という結論につながった。トランプ大統領の強硬さはそのままであった。

2014年7月4日、中国の習近平国家主席がソウル大学グローバル工学教育センターで講演している//ハンギョレ新聞社

 2014年7月の習主席の訪韓時は、韓中が日本にどんな話をするのかが焦眉の関心事だった。その頃、韓中は密着して、日本の過去の問題に共同対応する姿を見せており、米日と韓国の保守層からは韓国が中国にすり寄っていくという「韓国傾斜論」の懸念が台頭した。これを意識したのか、両首脳は共同声明で「日本」には言及しなかった。韓中「歴史共助」は後退するかに見えた。しかし長くは続かなかった。翌日、習主席はソウル大での講演で、16世紀の壬辰倭乱と20世紀の抗日戦争を取り上げて「肝胆相照らす」関係の韓中が、日本に対する共闘の歴史があることを強調した。韓国を、日本ひいては米国から中国側に引き寄せるという習主席の立場には変わりがなかった。

 トランプ大統領の国会演説や、習主席のソウル大講演のようなことは、首脳会談のために多くの事前協議と儀式などに神経を使った人々の立場から見れば、後頭部を殴られるようなものだ。だが、戦略構図と核心利益が変わらない状況では、いつでも起きうることでもある。外交的成果を、多様な材料を適切に料理して作り出した一つの料理に例えるならば、各種の材料も時には生のままで膳に上がることもあるからだ。

キム・ウェヒョン北京特派員//ハンギョレ新聞社

 文在寅大統領の2回目の韓中首脳会談が予告された。文大統領は、THAAD(高高度防衛ミサイル)葛藤の縫合という格好の良いレッドカーペットの上を歩くようだ。しかし、トランプ大統領の歴訪をめぐる北東アジア戦略構図は未だ変化が感じられない。中国に暮らす韓国人の日常生活も同じだ。文大統領の肩は決して軽くは見えない。

キム・ウェヒョン北京特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/818323.html 韓国語原文入力:2017-11-09 19:53
訳J.S(1696字)

関連記事