登録 : 2017.11.05 21:46 修正 : 2017.11.06 07:56

 “3NO原則”には朝鮮半島発の北東アジア覇権競争の要素を封じ込めるという文在寅(ムン・ジェイン)政府の立場が明確に含まれている。この原則は、中国牽制に韓国を引き込もうとする米国政府の立場には反するもので、北東アジアで敵と味方を組み分けするために疾走するトランプの政策には追従できないという決議と読むこともできる。

 堂々たる外交と朝鮮半島問題の主導的役割を公約した文在寅政府だったので、これまで外交の歩みが絡まるのを見ながら強く心配していたが、ようやくそれを吹き飛ばす朗報が飛び込んだ。韓中両国がTHAAD問題を封印し、関係回復と正常発展を追求することで合意した。THAAD問題が韓国経済と外交安保に及ぼした否定的影響を考えれば、きわめて幸いなことだ。

 ところで、THAAD問題合意と関連して韓国政府が明らかにした“3NO原則”が論議になっている。難癖をつけているのは主に保守野党と一部のマスコミ、および米国政府の人々だ。彼らの批判要旨は“3NO原則”が中国の強要に屈服した「安保主権の放棄」というものだ。しかし、これは話にならない批判だ。

 “3NO原則”は韓国の主権事項に関連した重要な内容を含んでいる。したがって文在寅政府が、心ならずも中国の一方的な圧迫に耐えかねてこの原則を明言したとすれば主権放棄の疑惑を買うこともありうる。しかし、筆者が知る限り“3NO原則”は文在寅大統領が選挙候補時期から追求してきた構想であり戦略の一部であった。

 先ず“3NO原則”の1項である「THAAD追加配備排除」は、文大統領の確固たる立場であった。文大統領は当初からTHAAD配備に対して軍事的効率性論議と韓国経済および北東アジア情勢に及ぼす否定的影響を考慮して否定的に判断し、韓国型ミサイル防御体系を好んだ。しかし、候補時期に韓米政府間の合意という現実と分裂した世論を参酌して、戦略的に曖昧な立場を取った。就任後に争点となったTHAAD1個砲隊の配備決定を下したが、その過程で相当な社会的葛藤費用と経済・安保費用を支払った。こうした苦痛の経験をした文在寅政府なので、この悪夢が再演されかねない状況を未然に遮断するために、いつかTHAAD追加配備の排除を内外に公表するだろうことは予想されていた。

 米国が推進する「ミサイル防御(MD)不参加」は、軍事的効率性の検討をはじめとする多様な戦略的考慮の末にすでに金大中(キム・デジュン)-盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時から米国側に不参加の意思を明らかにしてきたことであり、文大統領の判断も同じだ。「韓米日安保協力が軍事同盟に発展しない」ということに関しても、文大統領は韓米同盟は強固に存在するが韓米日あるいは韓日軍事同盟はありえないということを繰り返し内外に明らかにしてきた。北朝鮮の核を防ぐうえで日本の軍事力が必要だという主張もあるが、それは日本の軍事大国化を助長するだけで、実際に韓米連合戦力で充分だ。

 このように見る時、“3NO原則”は主権の放棄ではなく、文在寅政府がTHAAD問題を解決する名分を中国に提供し恩を売る一方で、その機会を生かしてしばらく滞っていたバランス外交に向けた自身の意志を内外に積極的に表明したと見ることができる。“3NO原則”には朝鮮半島発の北東アジア覇権競争の要素を封じ込めるという文在寅政府の立場が明確に含まれている。この原則は中国牽制に韓国を引き込もうとする米国政府の立場とは反するもので、北東アジアで敵と味方を組み分けするために疾走するトランプの政策には追従できないという決議と読むこともできる。文大統領もこの点を明確にするために最近外信記者団とのインタビューで「米中とバランス外交をするものであり、韓米日軍事同盟は不適切だ」と明らかにした。

イ・ジョンソク元統一部長官・世宗研究所首席研究委員//ハンギョレ新聞社
 残るカギは政府の意志と推進力だ。文在寅政府はまもなく“3NO原則”を傷つけようとする内外の荒々しい挑戦に直面するだろう。この挑戦に勝ち抜いてこそ韓国政府が北東アジアで積極的役割を遂行するバランス外交の時代が来る。その最初の関門が目前に迫っている。明日、トランプ米大統領が韓国に来る。文大統領は朝鮮半島での戦争を云々し一方主義にこだわる、この手にあまる難しい来客が訪れる直前にNATO(北大西洋条約機構)の事務総長に会い、「ソウルと休戦ラインとは45キロメートルも離れておらず、核と長距離ミサイルではなく在来式兵器によっても災難に直面しかねない」として、軍事行動の危険性を指摘して平和的解決を強調した。バランス外交に対する立場も明確にした。何か決意が感じられる大統領のこうした歩みが、過去6カ月間の対外政策に対する反すうの結果になることを願う。

 したがって、困難ではあってもトランプの前で持ち前の明るい笑みを浮かべながら、同時に岩よりも固い意志を込めてNATO事務総長に話したように、休戦ラインを目と鼻の先に置いて2千万人を超える韓国人が暮らしている危険な現実を示し、軍事行動不可を力説しバランス外交の姿勢を堅持することを応援する。

イ・ジョンソク元統一部長官・世宗研究所首席研究委員

韓国語原文入力:2017-11-05 19:04
http://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/817546.html 訳J.S(2245字)
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