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[コラム]トランプ-安倍政権のよく似たアジア戦略

登録:2017-11-02 22:50 修正:2017-11-03 06:14
今年2月、米フロリダ州マララーゴリゾートで開かれた日米首脳会談中に北朝鮮が弾道ミサイルを発射したことを受け、安倍晋三首相(左)とドナルド・トランプ米大統領が共同声明を発表している=パームビーチ//ハンギョレ新聞社

 日本の安倍晋三首相は「第2次内閣」スタートの翌日である2012年12月27日、寄稿専門メディアの「プロジェクト シンジケート」に上げた文で「太平洋における平和、安定、航行の自由は、インド洋の平和、安定、航行の自由と切り離すことはできない」と明らかにした。彼はこのような論理を根拠に「インド洋地域から西太平洋に至る海洋の共通利益を守護するために、オーストラリア、インド、日本、米国、ハワイが“ダイヤモンド”を形成する戦略を描いている」と話した。“ダイヤモンド同盟”という言葉の語源はここから始まった。

 3日(現地時間)に始まるドナルド・トランプ米国大統領の12日間にわたるアジア歴訪を控えて、トランプ行政府の対中国戦略として“ダイヤモンド同盟”が急浮上している。きわめて強いその語感のために、日本政府もその後は“ダイヤモンド同盟”という言葉は容易に使わないでいるが、トランプ行政府が提示する「インド太平洋戦略」は、安倍首相のダイヤモンド構想に似ている。

 レックス・ティラーソン米国務長官が先月18日、ワシントンのシンクタンクである戦略国際問題研究所(CSIS)で行った演説は「自由で開かれたインド太平洋」戦略、すなわちダイヤモンド構想の集約版だ。ティラーソン長官は「平和と安保、航行の自由、自由で公開的な社会構造を共有した米国とインドが、インド太平洋の東と西の灯として寄与しなければならない」と強調した。

 アリス・ウェルズ米国務次官補代行(南・中央アジア担当)も先月27日「近い将来、実務級4者会談の開催を検討している」と明らかにした。日本、オーストラリア、インドでも「4カ国安保対話」のための動きが始まったという報道が相次いで出ている。米国政府は最近、トランプ大統領のアジア歴訪に言及するたびに「自由で開放されたインド太平洋」というフレーズを決まって付けている。

 “ダイヤモンド同盟”という名前は2012年末に付けられたが、その起源を調べてみれば、安倍首相が2007年8月にインド議会での演説を通じて「4カ国安保対話」を提案して始まった。当時ディック・チェイニー米副大統領が積極的に支持した。

 4カ国安保対話は、中国がパキスタン、ミャンマーなどインド洋周辺国家に大規模港湾を建設し、インド洋進出の戦略的拠点を用意する動き(真珠のネックレス戦略)に対する対抗が狙いだった。しかしその後、オーストラリアとインドの政権が変わり「4カ国安保対話」はうやむやになった。安倍首相は2015年、中国の「一帯一路」戦略が公開されると改めてダイヤモンド戦略に精魂を込め始めた。安倍首相の執拗さを覗くことができる。

 トランプ行政府が安倍首相のダイヤモンド構想を受け入れたのはアイロニーだ。民主主義や人権の価値よりは、現実主義的な外交政策に優先順位を置いたためだ。ダイヤモンド構想は、中国が非民主主義的だという前提のもとに「自由で開放された民主主義価値同盟」を前面に掲げたという点で、トランプ行政府の初期対外政策とは肌合いが大いに違う。何よりもトランプ行政府の「アジア戦略を日本が組んでいる」といううわさがワシントンに飛び交っていることと妙に合致する。

イ・ヨンイン・ワシントン特派員//ハンギョレ新聞社

 ダイヤモンド構想がどの程度まで進展するかは不確実だ。最終目標は4カ国首脳会議だが、容易とは言えない。腐敗が激しく人権水準が低いと評価されるインドを戦略的パートナーとする程に民主主義国家と見ることができるのかという論議もある。また、インドもオーストラリアも中国と深い経済的関係を結んでいて、一方に傾いた外交関係を警戒している。

 注意深く見守る必要はある。中国の反応強度によっては米中関係に嵐を呼び起こしかねず、韓国が米中双方から勢力圏への編入を強要される相当な圧迫を受けることが予想されるためだ。

イ・ヨンイン・ワシントン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/817230.html 韓国語原文入力:2017-11-02 19:38
訳J.S(1744字)

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