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[社説]移住労働者の死を呼んだ「雇用許可制」、廃止を議論すべき

登録:2017-08-15 06:19 修正:2017-08-15 08:29
ソウル京畿仁川移住労働者労働組合、民主労総などが14日、ソウル鍾路区の大統領府の噴水前で「雇用許可制で人が死んだ。移住労働者死亡事件を解決せよ」とし「雇用許可制を廃止して移住労働者の人権と労働権を保障せよ」と要求する記者会見を開いている//ハンギョレ新聞社

 先日、自ら命を絶ったネパール出身の移住労働者のエピソードが施行14年目を迎えた雇用許可制の陰を現わした。韓国で1年7ヵ月間もの間働いた27歳のケシャブ・シュレスタ氏は、遺書に「他の工場に行きたくても行けず、ネパールに行って治療を受けたくても受けられなかった」とし、「私の口座に320万ウォン(約32万円)があります。このお金は私の妻と妹にあげて下さい」と書いた。

 この事件を特定の会社の問題としてみるべきではない。14日、関連団体が記者会見で「雇用許可制が人を殺した」と主張したように、移住労働者の職業選択権を極度に制約している制度そのものから始まった問題だからだ。未熟練労働者の就職ビザ(E9)を受けて韓国に入ってきた移住労働者は、3年以内に最大3回職場を移すことができるが、使用者の承認があったり、不渡りや賃金の未払いなど、極めて例外的な場合のみ可能だ。今年に入って事業場変更問題に悩んだ末に命を絶ったネパール人の移住労働者がもう二人いるという。

 3D(Dirty・Dangerous・Difficult)業種離れ現象の打開策として1993年に始まった産業研修生制度は、外国人労働者を労働者ではなく研修生と見なし、労災補償も、労働3権も保障せず、「現代版奴隷制」と呼ばれた。それでも労働3権を保障し、公共部門が直接管理して透明性を確保するという趣旨で、2004年に15カ国の労働者を対象に雇用許可制が導入されたが、3年の長期労働契約と事業場変更制限の規定は代表的な毒素条項と批判されてきた。政府は頻繁な転職への懸念のためとしている。しかし、遠い異国の地に働きにきた人々が退職金もまともに受け取れない不利益まで甘受して特別な事由なしに事業所を頻繁に変える理由はない。むしろ事業主がこの条項を悪用して、差別と強制労働、賃金未払いなど、労働搾取行為をする場合が少なくないのが現実だ。

 昨年末基準で在韓外国人は200万人であり、10年で2倍になった。社会統合費用の増加や内国人の仕事の減少の懸念についての議論は必要だが、反人権的な毒素条項はまず廃止するのが当然だ。さらに、移住労働者自らが定住と帰国を選択できる労働許可制の転換を公論化する必要がある。韓国社会の最も零細で劣悪な作業場で労働を担ってきた彼らの職業選択の自由さえ剥奪し、「透明人間」扱いする権利は誰にもない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/806767.html 韓国語原文入力:2017-08-14 18:16
訳M.C(1142字)

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