北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)に搭載できる小型核弾頭の開発に成功したという結論を、米国情報当局が先月下したと伝えられた。また、韓米当局は北朝鮮が現在保有している核兵器の数を60発と評価しているという。しかし、このような評価は誇張されているという指摘もある。
ワシントンポストは、米国防総省傘下の国防情報局(DIA)が先月、北朝鮮の核開発プログラムに対する機密評価を通じて「北朝鮮がICBM級ミサイルを含めて弾道ミサイル運搬体に搭載できる核兵器を開発した」と結論づけたと8日付(現地時間)で報道した。同紙は北朝鮮が核弾頭の小型化の試験に成功したのかはまだわかっていないと伝えた。
さらに、米情報当局は先月28日付の同じ報告書で、北朝鮮が最大60発の核兵器を保有しているものと推算した。これは米国最高の核専門家のうちの1人とされるジークフリード・ヘッカー博士が昨年9月、北朝鮮専門メディア「38ノース」の寄稿文で「北朝鮮は2016年末までに、最大20個の核爆弾を生産できるだけの核分裂物質を確保することができるだろう」と予想したことに比べれば、相当高く設定したものだ。デビッド・オルブライト米科学国際安保研究所(ISIS)所長も4月、北朝鮮が昨年末基準で30個の核兵器を持っているだろうと分析したことがある。
米情報当局の評価について、同紙は「今回の評価は、北朝鮮がすでに重要なマイルストーンに到達したと結論づけたということ」だとし、「北朝鮮は『完全な核保有国』に向けた主要なハードルを超えた」と評価した。
しかし、ヘッカー博士はワシントンポストとAFP通信などに「誇大宣伝は非常に危険だ」とし、今回の報告書の評価を批判した。彼は「北朝鮮が十分にしっかりした再進入体を保有するにはさらに5年は必要だ」とし、「北朝鮮にはICBM発射で生き残るのに十分小さくて軽く丈夫な核弾頭の配備に向けた十分なミサイルや核兵器実験の経験はないと見られう」と指摘した。
今回の情報機関の評価がトランプ行政府の対北朝鮮政策にどのように反映されるかはまだ分からない。同紙は「多国間交渉や韓国に戦術核を再配置する選択肢が議論されている」と報道した。これはトランプ政権の対北朝鮮政策が相当部分修正される可能性もあることを示唆する。
一部では「来年北朝鮮のICBM実戦配置の可能性」という最近の報道と相まって、意図的にこのような情報流出が、北朝鮮に対する軍事行動を正当化するためのムードづくりではないかという見方もある。米国のマスコミはこの報告書に関する報道が出てから行われたトランプ大統領の「炎と怒り」発言は、1945年ハリー・トルーマン大統領が日本の広島に原子爆弾を投下した直後、さらに徹底した破壊を警告し、「地球上で一度目にしたことのないような廃墟の雨が空から降る」とした発言を借用した可能性があると伝えた。
だが、トランプ政権が北朝鮮に対する軍事行動を試みる可能性はまだ希薄という見解が多い。戦争開始は大統領一人で決定できず、韓国など同盟や議会の同意なしには現実的に後始末が困難で、北朝鮮の報復の可能性を事前にすべて遮断することは難しいからだ。
一方、韓国軍当局はワシントンポストの報道に対して「韓米情報当局は、北朝鮮の核弾頭の小型化に相当な進展があると評価する」という既存の情報判断を固守した。