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[社説]積極的再分配政策なしに所得分配悪化は止められない

登録:2017-05-25 22:30 修正:2017-05-26 15:31
所得5分位階級倍率とジニ係数の推移//ハンギョレ新聞社

 外国為替危機後、悪化の一路をたどっている所得分配の指標が2008~2009年を境に最悪の状況を抜け出した。今後は続けて改善されるという期待が芽生えていた。ところがそのような期待は空しく崩れてしまった。昨年の個人の可処分所得を基準とした所得不平等度が大幅に上昇したことが明らかになった。

 統計庁集計によれば、昨年韓国の家計可処分所得のジニ係数は0.304で、2015年の0.295より0.009上った。可処分所得を基準にして不平等の度合いが緩和された流れが5年ぶりに反転したのだが、数値は一挙に2013年の水準に戻った。所得上位20%の層の所得と下位20%の層の所得格差も広がり、相対的貧困率も高まった。

引退年齢層(66歳以上)の所得5分位の割合//ハンギョレ新聞社

 可処分所得のジニ係数は、政府に納める税金や基礎年金、受給費などの政府から受ける公的な振替所得を加えた所得を基準として不公平度を計算したものだ。政府の再分配効果が反映されている。政府の再分配政策が可処分所得のジニ係数を下げる割合は高まり続けている。それでも昨年の可処分所得ジニ係数が再び高まったことを軽く見てはならない。再分配がなされる前の市場所得の不平等度がそれだけ早く高まっているという話であるからだ。昨年の市場所得のジニ係数は0.353で、2015年に比べて0.012も上がった。

 働き口の質が悪くなって貧困層が拡大したのがジニ係数上昇の主要原因だ。限界企業のリストラで増えた失業者が零細自営業に大挙飛び込んで、平均就職時間が短いアルバイト型の働き口の割合が大きくなった。今年に入っては景気が底を打って良くなる兆しが伺える。しかし内需好転でなく輸出回復に頼ったものなので、所得の不平等緩和には限界があるようだ。

 政府が雇用創出を最優先の政策にしたことは正しいだろう。究極的には民間で良い働き口をたくさん作るように政策を展開せねばならない。政府はさらに積極的に再分配政策も行わねばならない。産業構造、雇用構造の変化、高齢化の影響で市場所得の不平等度が大きくなり続けているが、これを改善するには相当な政策的・政治的努力と時間が必要だ。だからといって放置していると内需不振による長期沈滞から抜け出す方法がない。財政赤字を甘受しても福祉制度を早急に拡充しなくてはならない理由である。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2017/05/25 17:45

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/796253.html 原文: 訳T.W

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