本文に移動

[社説]中国「報復」の責任を朴大統領はとれるのか

登録:2017-03-05 21:17 修正:2017-03-06 07:04
朴槿恵政府は中国の反発が充分予想されるTHAAD配備の決定について無能な外交で一貫し、中国を相手に事業をする大企業や零細自営業者らの被害が雪だるま式に膨らんでいる=グラフィック/キム・スンミ//ハンギョレ新聞社

 朴槿恵(パク・クネ)政権は最後まで無能で無責任だった。拙速にサード(THAAD=高高度防衛ミサイル)体系の配備を決めれば済むことだと思っていたのだろう。中国の反発にいかに対処しうるかについてはまったく想定していなかった。中国が本格的な報復措置に出てきても、せいぜい「残念」「対策を検討中」などと繰り返すばかりだ。セウォル号、MERS(中東呼吸器症候群)、鳥インフルエンザ(AI)など朴槿恵政権の間中続いたゴタゴタと無責任ぶりが最後までよく現れている。

 中国の報復は十分に予想された事態だった。社会主義国の特性上、習近平・国家主席が自ら前面に立って「THAADの韓国配備に断固として反対する」とことあるごとに表明していた以上何事もないはずはなかった。それなのに政府の陣営は「中国は簡単に報復できる立場ではない」(黄教安(ファン・ギョアン)首相)などと根拠のない楽観論ばかり言いつらねていた。政府は今ごろになってから中国と話し合ったとか、世界貿易機構(WTO)に提訴することを検討しているなどと事後処理に追われているが、効果はよく分からない。世界貿易機構に提訴しても仲裁決定されるまで1~2年かかるため雪だるま式に増える被害をすべて受けいれねばならない。政府は現在、妙案もなしにため息ばかりもらしている状態だ。

 事態がこのような状況になったことには一部の保守系の新聞も一役買っている。中国の反発を憂う声を「中国に対する事大主義」として片付けて非難するばかりだった。さらに、ある新聞は「企業の何社かが滅びても、国の安保のためにある程度の犠牲は甘受するほかはない」という無責任な主張までならべた。合理的な状況の分析や忠告で政府を正しい方向に導くどころかむしろ判断ミスを誘った。そうこうするうちに中国の報復の動きが見え始めるとすぐに、「それでも大国か」「幼稚で傲慢な横暴」などと、ふてくされた話をしている。

 THAAD配備が自国の安保に重大な害を及ぼすとしっかり認識している中国としては簡単には引かないことは明らかである。実際THAADは米国と中国の戦略的利害関係の中で韓国の位置づけを強化し、北朝鮮の核問題解決の糸口を作りうる好機だった。しかし朴政権は無能、無知なためにかえって禍を招いた。そして中国と取引きしている大企業や多くの零細業者を極限状況に追いやっている。朴大統領が弾劾にあって退任させられるとしても、その償いは国民が全て負わなければならない。間違って選んだ一人の大統領が及ぼした害は本当に大きく、深い。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2017/03/05 17:33

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/785185.html 原文: 訳T.W

関連記事