今年の韓国外交のさらに大きな挑戦は、“少女像の日本”と“THAAD(高高度防衛ミサイル)の中国”ではなく、トランプ政権の登場と共に起こる世界の権力構図の大激変によってもたらされるだろう。しかし、突破口が全くないわけではない。世界情勢に対する冷静な分析の下、グランドプランを描いてから、原則を持って粘り強く問題に取り組んで行くべきだ
韓国外交が新年早々から四面楚歌に追い込まれた。想像だにしなかったドナルド・トランプ米政権の登場と、朴槿恵(パク・クネ)大統領の弾劾事態で右往左往する間に、少女像とTHAAD問題で、日本と中国の両方から攻撃を受けている。四方を見回しても助けてくれる友好国が見つからない孤立無援のうえに、危機を主体的に突破できる内的能力もない惨憺たる状況だ。内憂外患であり、絶体絶命の危機だ。
問題は、このような孤立と危機が他の誰でもなく、朴槿恵政権自ら招いた外交惨事ということだ。
まず釜山(プサン)日本総領事館前の少女像に対する日本の反発を見てみよう。日本は少女像の設置が慰安婦問題を「最終的かつ不可逆的に解決」した2015年12月28日の合意に反するものだとして、長嶺安政大使と森本康敬・釜山総領事の召喚や韓日通貨スワップ協議の中断、韓日高位級経済協議の見送り、釜山総領事館職員の釜山市関連行事への参加中止という強硬な報復措置を発表した。反人権的な慰安婦問題を、最初に誰が起こしたのかを考えると、日本の処置は居直りであり、腸が煮えくり返るようなことだが、日本が声を高められる口実を作ったのは、朴政権の無能な対日外交である。韓国が道徳的な優位に立って国際世論の支援を受けながら解決できる慰安婦問題を、“無謀な強硬策の後の中途半端な合意”で相手に主導権を渡した罪が大きい。このような外交の失敗が、日本の安倍晋三首相から「我々は10億円を出した。次は韓国が誠意を見せなければならない。次期政権も合意を守らなければならない」という、かえって訓戒めいたことを聞かされる逆転した状況を招いた。
THAAD配備問題も同じだ。北朝鮮の核・ミサイル問題が昨日明日に始まった脅威でもなく、朴槿恵政権発足以来、ずっと存在してきた問題である上、2014年半ばから米国軍部からTHAAD配備が非公式・公式に提起されていたにもかかわらず、2016年1月6日に行われた北朝鮮の4回目の核実験まで、朴槿恵政権は終始否定するだけだった。それまでのTHAAD配備に対する韓国の公式立場は、米国からの要請も、協議も、決定もないという3ノー(NO)政策だった。当初から韓国の安保に絶対必要な兵器だと思ったなら、前もって声高に反対を表明してきた中国とロシアの説得に努めなければならず、実際に状況が3ノーから急に変わったなら、いかなる理由であれ、それについて説明すべきだったが、全くそうしなかった。さらに、中国、ロシアは昨年7月8日、国防部が韓米間にTHAADを配備することを決定したと発表する直前まで、全くそのような事実を知らされていなかったと強い不満を示した。彼らとしては、韓国政府が詐欺を働いたとみているのだ。特に中国は、朴大統領の弾劾事態以降の状況の変化を注視しながら、あらゆる方面から有形無形の報復を加えている。
しかし、今年の韓国外交のさらに大きな挑戦は、“少女像の日本”と“THAADの中国”ではなく、トランプ政権の登場と共に起こる世界の権力構図の大激変によってもたらされるだろう。トランプ氏と彼の外交・安保陣営は、これまでの発言や性向からして、中国と対立し、ロシアと協力する対外戦略を駆使する可能性が非常に高い。1972年、ニクソン元大統領の電撃的な中国訪問後に定着した米中協力時代が去り、米ロ合作時代が開かれるのだ。トランプ氏とプーチン大統領が互いにラブコールを送り、トランプ氏が「一つの中国」原則を無視して蔡英文・台湾総統と電話会談をする状況が、果たして韓国にはどのような影響を及ぼすだろうか。
世界的レベルの激変と地域レベルの日中間の対立、南北対立が交差する朝鮮半島問題の解決策を見出すのは、いつになく困難であろう。しかし、突破口が全くないわけではない。まず、世界情勢の変化を客観的かつ冷静に分析することから始めなければならない。国益に最も有利なグランドプランを描いた後、原則を持って粘り強く問題に取り組んでいくべきだ。グランドプランを持たず、その都度浮上した事案に取り掛かっては、絶対に勝てない。THAADや慰安婦問題がまさにそのようなケースだ。
すでに“死んだ政権”の朴槿恵政権に頼ることはない。朴大統領が国のために最後にできることがあるとしたら、弾劾決定を待たずに退陣することで、新政権が一日も早く失敗した外交遺産を整理・修正・補完できる道を開けることだ。