登録 : 2016.11.30 02:22 修正 : 2016.12.02 23:42

 朴槿恵(パク・クネ)大統領は率直でも正直でもなかった。自分の過ちを認めることも、責任を取る覚悟もなかった。むしろさらにずる賢くなり老獪になった。浅知恵で急場をしのぎ、反撃の機会を狙おうとする思惑だけが目立っていた。朴大統領が29日発表した3回目の国民向け談話は、国民の期待を再び裏切ると共に、さらに激しい失望と怒りをもたらした。

 朴大統領は談話で「大統領職の任期短縮を含めた進退問題を国会の決定に任せる」と述べた。自分の責任を巧みに回避してボールを政界に渡してしまった。表向きは「何もかも手放した」かのように超然としたふりをしたが、実際には大統領の座をつかんで離さないための執着と意地がひしひしと伝わってくる。辞任問題は、朴大統領自身が決断すれば済む問題だ。それでもボールを政界に渡した理由は明白である。朴大統領には辞任する気が爪の垢ほどもない。

朴槿恵大統領が29日午後、大統領府のブリーフィングルームで3回目の国民向け談話を発表している=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 朴大統領が自分の「進退」問題を今になって取り上げた理由は明らかだ。国会の弾劾訴追案の発議が目前に迫り、焦っているのだ。朴大統領は当初国会の弾劾訴追案の発議・通過が困難であると判断し、終始「弾劾するならやってみなさい」と言わんばかりの態度だった。ところが、弾劾案の可決が既成事実化すると、政界の戦列かく乱に乗り出した。

「検察の事情聴取を拒否」したことについては全く触れず

 朴大統領の3回目の国民向け談話は結局、弾劾を阻止するためのずる賢い術策だ。セヌリ党のチョン・ジンソク院内代表が野党側に弾劾の日程を原点から再検討することを要求し、非朴系の中にも「即刻弾劾」を躊躇する雰囲気があらわれていることが、それを裏付けている。特に、朴大統領が自分の進退問題を国会の「合意」と結びつけたのは、実に狡猾だ。合意が行われるためには、野党だけでなく、セヌリ党までも同意しなければならないが、これは現実的にほとんど不可能だ。朴大統領は不可能なことを国会に求め、巧妙に抜け出そうとしているわけだ。

 朴大統領がこれまで必死に無視していた「秩序ある退陣論」を今になって取り上げたのも、見え透いた策だ。政界ではこれまで、国政の空白を最小化できる秩序ある政局収拾策をめぐり、様々な議論が活発に行われてきた。挙国中立内閣の構成後に大統領の辞任、大統領の任期短縮のためのワンポイント改憲など、様々な案が提示された。"メニュー"が多すぎるとかえって選びづらくなるものだ。朴大統領は、このような隙を狙って、餌をまくことで、政界を百家争鳴の争いに引きずり込んだ。政界が議論を戦わせるのに夢中になり、なかなか決定を下せない間、時間を稼ぎながら、戦列を整えるという思惑だ。特に、朴大統領が「任期の短縮」という表現を使ったのは、改憲を念頭に置いたものとみられる。野党の分裂まで狙った実に狡猾な術策と言わざるを得ない。

 今回の国民向け談話を通じて改めて確認された事実は、朴大統領は依然として自分の過ちを全く認めていないということだ。朴大統領はこの日も「チェ・スンシルゲート」について「自分にとっては国のための公的な事業だった」と強弁しつつ、「一瞬たりとも個人の利益を追求したことがない」とか「周りを管理しなかった過ち」など、従来の主張を繰り返した。チェ・スンシル氏とチャ・ウンテク氏らの起訴状で、朴大統領が彼らの利権確保を積極的に助けた「共犯」と名指しされた部分などは、気にも留めなかった。朴大統領が、依然として自分の非を認めないからこそ、辞任しなければならない理由がないと信じるのは当然の帰結だ。

進退をめぐる論議は弾劾の後にしても遅くない

 朴大統領の対国民談話はすでに"言葉の信頼"を失った。朴大統領は2回目の国民向け談話で「検察の捜査に誠実に臨む」と約束したが、実際、検察捜査が目の前に迫ると、「人格殺人」とか「時間がない」というとんでもない理由を挙げて拒否した。朴大統領の3回目の国民向け談話が最小限の真摯さを保つためには、このような"二枚舌"に対する説明と言い訳がなされるべきだった。しかし、朴大統領はその部分については口をつぐんだ。そのため、大統領の談話は感動を与えることができなかった。ひとまず、弾劾案の阻止と時間稼ぎの意図が実を結ぶと、朴大統領がまたどのように前言を翻すか、誰にも分からない。たとえ国会が合意しても、さまざまな理由を並べ立てて拒否する可能性も考えられる。朴大統領は自分の任期を全うするためなら、常識や良識、体面などはすでに脱ぎ捨てて久しい。

 朴大統領のこの日の国民向け談話で、政界が進むべき道は一層明らかになった。弾劾案をゆるぎなく推進しなければならない。朴大統領のかく乱策がすでにセヌリ党の中である程度効力を発揮している状況を考えると、より緻密なアプローチが求められる。朴大統領の進退問題に対する国会レベルの議論が必要なら、弾劾案の成立後にしても遅くない。憲法裁判所の決定が出る前に国会が合意案を導くこともあり得るし、朴大統領が自ら辞任することも一つの方法だ。結局、朴大統領の3回目の国民向け談話によって、弾劾案を圧倒的に通過させなければならない必要性はさらに高まった。もし朴大統領の姑息なやり方によって国会が混乱に陥ってしまったら、キャンドルはさらに大きく燃え上がることになるだろう。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

韓国語原文入力:2016-11-29 18:45
http://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/772527.html 訳H.J(2370字)

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