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[社説]不正企業家を見逃す赦免であってはならない

登録:2016-08-11 08:19 修正:2016-08-11 09:06
遺伝病のCMTで闘病中のイ・ジェヒョンCJグループ会長が有力な恩赦対象者の名にあがっている。写真は、イ会長が2014年9月にソウル高裁で開かれた控訴審判決公判に出席するため車椅子で移動している様子=イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

 8・15光復節の特別恩赦がまもなく発表される。今回も不正容疑で処罰された企業家らが多数含まれそうだ。企業と社会に大きな被害を与えた企業家に対する処罰が、再び「なかったこと」にされてしまう。こんな法治主義を揺るがすことをいつまで繰り返そうというのか問わざるを得ない。

 不正企業家の赦免はいかなる理由があっても正当化できない。大統領の赦免権は司法による裁判の結果を一瞬で無力化するだけに、極めて例外的な状況に制限して行使されるべきものだ。にもかかわらず歴代の政府は、まるで恒例行事のように赦免権を乱発し、その度に不正企業家に免罪符を与えた。「経済再生」や「経済危機克服」など政策的な必要が憲法が見据えた例外的な状況にはならない。不正企業人の赦免が投資と雇用、経済成長につながるという主張は虚構と指摘する研究結果もすでに出ている。朴槿恵(パククネ)大統領もこれを正すと明らかにしてきた。2012年の大統領選挙の時は「大企業の支配株主や経営者の重大犯罪には赦免権行使を厳しく制限する」と公約し、昨年は「経済人特別赦免は納得できる国民的合意があってはじめて可能なことがら」と述べた。昨年の光復節特別恩赦の際は、経済人特別恩赦の基準まで出した。

 今回の恩赦の対象とされる不正企業家たちが、その原則と基準に合致するか疑問だ。政府基準では、最近6カ月以内の刑の確定者、刑執行率が足りない者、現政府発足以降の不正行為者、罰金・追徴金未納者などは赦免されないことになっている。イ・ジェヒョンCJグループ会長、ヒョン・ジェヒョン元東洋グループ会長はこれらの基準に一つあるいは二つ反する。キム・スンヨン韓火グループ会長は、すでに2回も似た犯罪で特別赦免を受けた前歴があり、タム・チョルゴン・オリオングループ会長にいたっては前職の役員らが偽証教唆など不道徳性を告発している。こうした人たちに対する赦免を国民が納得して合意するはずがない。不正企業人の赦免に反対する意見が60%を超える世論調査も最近出ている。

 不正企業家の赦免は原則と基準に合わない特別待遇であり、国民統合になんの役にも立たない。大統領が述べた「希望の転機」ですらない。それより各種政治事件など、前政権から累積された社会的葛藤を癒やし包容する赦免でなければ正当性は認められないはずだ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-08-10 17:12

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/756040.html 訳Y.B

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