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[社説]サムスン電子イ・ゴンヒ会長のいいなりだった赦免委員会の実態

登録:2015-01-08 05:27 修正:2015-01-08 09:04
2010年1月9日、ラスベガスで開かれた家電展示会CESに参加したサムスン イ・ゴンヒ会長一家。左からイ・ブジン ホテル新羅社長、イ会長夫人ホン・ラヒ リウム美術館長、イ会長、イ・ソヒョン第一企画社長、チェ・ジソン副会長、イ・ジェヨン サムスン電子副会長。//ハンギョレ新聞社

 サムスンのイ・ゴンヒ会長に対する2009年末の“ワンポイント恩赦”の実態の一部が5年ぶりに明らかになった。「ハンギョレ」が情報公開請求で入手した法務部の赦免審査委員会の2009年12月24日会議録によると、イ会長が異例の企業家1人の特別恩赦を受けた際、赦免審査委は赦免の適当性を審査する本来の役割の代わりに、政府の“いいなり役”に終わった。こんなことでは赦免審査委をなぜ作ったのか問わざるをえない。

 会議録にあらわれた赦免審査委のあり様は見苦しい。赦免審査委は法務部長官の特別赦免の上申が適正になされるように審査・自問する組織である。しかし赦免審査委員はむしろイ会長の恩赦の名分と理由探しに先を争った。予想される世論の批判を揉み消す広報にも気をもんだ。まさに巨大メディアの広報戦略会のようなものだった。

 会議の結果の恩赦の理由も妥当ではない。法務部側の委員はイ会長が息子に不法に経営権を継承する際に会社に損害を及ぼしたことを「国益のために熱心になった結果のこと」で、「法によりイ会長を処罰したのは『国益に相反するようなもの』」と表現した。検事出身の法務部の幹部が不法経営権の継承や背任などの犯罪行為を擁護し、それに対する刑事処罰を誤りだと主張したのだ。実際、検察は法学教授がサムスンの不法経営権継承を告発した2000年以後も数年間手ぬるい態度を続けて不起訴処分や形式的な手抜き捜査に終始した。検察の代わりに特別検事がイ前会長らを起訴してようやく懲役3年に執行猶予5年という“財閥仕様”の判決を受けたが、法務部はそれさえ刑の確定から4か月で「大目にみよう」としたのだ。

 会議で審査委員は2018年平昌(ピョンチャン)冬季オリンピックの誘致や国際的な企業競争などの“国益”をイ会長赦免の名分に出した。「国益のために恩赦すると思えばいい」と話す委員もいた。「法と原則」を口癖のように唱えてきた当時の李明博政権が矛盾することこのうえない無理な単独恩赦を押し切ったのも国益という言い訳であった。

 同じようなことは今も行われている。チェ・ギョンファン経済副総理やセヌリ党のキム・ムソン代表は経済再生のために不正企業の仮釈放は必要だと、代わる代わる世論をたきつけている。その対象は主にSKのチェ・テウォン会長(拘束中)のことだろう。事実上“ワンポイント恩赦”のようなものだ。仮釈放審査委員会も赦免審査委のように法務部長官所属である。またもやいいなり役になることだけはだめである。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015/01/06 18:33 

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/672348.html 訳T.W(1214字)

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