任期が1ヶ月も残っていない李明博大統領が29日に断行した特別赦免は名分を探すことが難しい歴代最悪の特赦として記録されるものと見られる。 チェ・シジュン前放送通信委員長を赦免するために大統領権限を乱用して無理を強いたという評価が多い。 側近、親李系、姻戚のための‘報恩赦免’という指摘も出ている。
李大統領は閣僚会議でクォン・ジェジン法務長官の特別赦免案提案の後、国務委員の理解を求めると言いながら説明に立った。 「政府がスタートする時、赦免権を乱用しないとし、在任中に発生した権力型不正に対する赦免はしないと発表した。 今回の赦免もそのような原則の上に立った。 歴代政府と比べても少ない」と話したとパク・ジョンハ大統領府報道官は伝えた。 赦免原則として4点を挙げるなど異例に長く説明した。 国務委員は討論することなく特赦案を議決した。
李大統領が‘法と原則’を前面に掲げた赦免だと精魂込めて説明したが、説得力には欠ける。 李大統領は最側近であるチェ・シジュン前放送通信委員長などを赦免した理由を説明できなかった。 法務部報道資料にも 「国家発展に再び寄与できる機会を付与する」とだけ書かれている。 今回の特赦の‘目的’が、チェ・シジュン前委員長だと見る視角も多い。 チェ前委員長は政治的メントとして李大統領の大統領選挙勝利‘開国功臣’であるだけでなく故郷の先輩でもある。 放送通信委員会委員長を再任して強大な権限を振るったし‘実力者中の実力者’として振る舞った。 特にチェ委員長は裁判過程で「李大統領の党内競選のために金を受け取った」と明らかにするなど、李大統領大統領選挙資金の黒幕を知っているような態度を見せ、李大統領としては口をふさぐためにも必ず対象にせざるをえなかったという分析もある。 チェ前委員長は刑の執行率も31%にしかならない。
李大統領が説明した自身の原則に外れるケースも多かった。 在任中の犯罪は除いたと言いながら、チョン・シニル前セジュンナモ会長は現政権に入って支援金を受け取った疑いも裁判所で有罪と認定された。 また、パク・ヒテ前国会議長とキム・ヒョジェ前大統領府政務首席(次官級)は2008年にハンナラ党全党大会での金入り封筒事件で有罪を宣告された。 親戚要人は除くと言いながら、経済人赦免対象者の中で暁星グループのチョ・ヒョンジュン社長(刑宣告の失効および復権)は李大統領の3番目の婿であるチョ・ヒョンボム韓国タイヤ社長の従兄弟で姻戚関係だ。 法務部は「法的に親戚ではない」としたが説明が苦しい。 実兄であるイ・サンドク前セヌリ党議員は裁判が進行中でありもともと赦免対象にはなりえないのに、‘お兄さんは赦免しなかった’と自慢する姿だ。
結局、今回の特赦は‘家族面倒見’という評価を避けることは難しく見える。 今回の特赦で復権したパク・ヒテ前国会議長はチェ・シジュン前委員長と共に李大統領の2007年大統領選挙キャンプをリードした‘6人会’構成員だった。 キム・ヒョジェ前大統領府政務首席は昨年まで李大統領を側近として補佐した。 盧武鉉前大統領が任期末特赦でチェ・ドスル前大統領府総務秘書官を特赦名簿に含めたことはあるが、今回のように高位級人士をぞろぞろ解いたことは前例がない。 キム・ヒョジェ前首席、キム・ヨングァン前大統領府政務1秘書官、キム・ジョンレ前<週間朝鮮>編集長など<朝鮮日報>出身要人3人も含まれた。
龍山惨事事件で実刑に服している撤去民5人が含まれたが、彼らは残刑(刑執行率75~80%)がいくらも残っていなかった。 大統領府関係者は「野党圏要人も特赦に(多く)含めれば良かったが対象者があまりいなかった」と話した。
アン・チャンヒョン、イ・ギョンミ記者 blue@hani.co.kr