北朝鮮がミサイルの発射を続けている。4月15日に1回、4月28日に2回、そして5月31日に1回、ムスダン弾道ミサイルの発射試験を行った。4月23日には、潜水艦から発射されるミサイル(SLBM)を試験発射した。そして6月22日には「中長距離戦略弾道ロケット火星10」を高度1400キロメートルまで打ち上げた。
国際社会は制裁で対応した。 2月10日、韓国は開城(ケソン)工業団地を全面閉鎖し、米国は2月18日に対北朝鮮制裁法を採択した。日本も2月19日、海運と金融統制の強化および人的交流の規制の拡大など、北朝鮮に対する制裁を実施。3月2日、国連は安保理決議2270号を採択する。過去に例のないほど強力な対北朝鮮制裁案だった。3月8日、韓国は独自の対朝鮮制裁措置を加えた。この独自措置の骨子は海運や金融、輸出入管理を強化すると共に、北朝鮮が経営するレストランといった営利施設への利用を控えることなどだ。そして、3月16日、米国は新規行政命令13722号を発表した。この命令には、北朝鮮の人権蹂躙、海外への労働者送出などの分野まで制裁を拡大できる措置が盛り込まれた。また、北朝鮮と取引する企業や国に対する米国の制裁も可能になった。 5月18日、欧州連合(EU)は、北朝鮮の政府、軍首脳部の実力者が含まれている新しい制裁対象を発表した。5月28日には、貿易、投資、金融、輸送などの幅広い分野で、北朝鮮に対するEUの包括的な独自制裁措置が発表された。 6月1日、米国財務省は、北朝鮮をマネーロンダリング憂慮対象国に指定した。
外部から広範囲な制裁と強力な圧迫がかかるほど、平壌の「より遠く、より高く」という信念はさらに強さを増している。北朝鮮の敵愾心も尋常ではない。 5月6日の党大会の開幕での祝辞で「帝国主義は、あらゆる制裁で経済発展と生存の道さえ塞いでいる」と言及した金正恩(キムジョンウン)委員長は、火星10の発射実験直後、「太平洋作戦地帯内の米国奴らを攻撃できる確実な能力を持つようになった」と喜んだ。
朴槿恵(パククネ)大統領の対北朝鮮制裁の信念も金委員長に引けを取らない。6月13日に行われた第20代国会開院演説で「北朝鮮の核問題は、国際社会対北朝鮮の構図」とし、北朝鮮の非核化に向けた解決は「結局意志の戦いになるだろう」と述べた。先週はさらに踏み込み、「北朝鮮を変化させる唯一の方法は、より強力な制裁と圧迫」と言い切った。
北京で開かれた北東アジア協力対話で、韓国のキム・ゴン団長と米国のソン・キム代表は北朝鮮のミサイル発射を非難し、北朝鮮に非核化に向けた誠意ある態度を求めた。北朝鮮代表のチェ・ソンヒ外務省米国副局長は、米国が敵視政策を放棄しなければ、「6カ国協議は死んだようなもの」と対抗した。中国とロシアは、「関連国は緊張を高めさせる行為を自制せよ」と呼びかけるだけだった。多国間交渉を通じて今日の難局を解決する意志は、北朝鮮はもちろん、どの国からも示されなかった。
朴大統領の怒りも非常に激しい。もちろん、金正恩委員長の身勝手な行動も、それに負けないほど荒々しいものだ。任期末を迎えたオバマ大統領からは新たな政策意志が見られない。ソウルが北朝鮮に対し怒りを募らせ、終始断固たる対応で臨む間、韓国と米国に対する平壌(ピョンヤン)の敵意はさらに強くなった。 2007年37.9%を記録した北朝鮮の対南交易依存度が、今年は実質的に0%を記録するという現代経済研究院の予想は、南北関係が何もない 「ゼロの状態」になったことを意味する。
怒りが蔓延すると、理性の声は居場所をなくす。このような危機を管理するリーダーシップが見られないのは懸念すべきことだ。怒りよりも冷徹な理性が求められる時期に、何が大切なのかもわからず、緊張と危機を繰り返す姿を見ていると、「いとも容易く戦争が起こりそうで心配になる」という引退を控えたある教授の一言を思い出してしまう。
韓国語原文入力:2016-06-28 16:40