英国が国民投票を通じて欧州連合を離脱することを決めると、またたくまに世界の金融市場が動揺した。欧州市場の株価はもちろん、米国など世界各国の株価が急落して「ブラックフライデー」(24日)とまで表現された。主要国の通貨価値も急変した。英国のポンドが8.1%も暴落し、ユーロも2.4%下落した反面、日本の円の価値は3.7%も上昇した。今後の世界経済に不確実性が一層高まったと見て、金融市場の投資家たちが安全な資産に急激に傾いている形である。
しかし英国の欧州連合離脱は、今後、離脱の意志を公式に明らかにしてから長期の交渉を経て実現される。金融市場は反応が非常に速いが、実体経済が本格的な影響を受けるのはしばらく後のことだ。したがって英国の国民投票直後の金融市場の指標だけを見て性急な対応をするのは賢明でない。それよりも世界経済の秩序の変化をよく認識し、それに合わせて戦略的な対応を模索する必要がある。
2008年の世界金融危機を契機に、全世界の経済秩序を主導してきた国際化と自由貿易主義は動揺し始めている。英国の欧州連合離脱の決定はその延長線にある。世界各国が保護貿易にかじを切って、自国通貨を劣勢に導く近隣の「窮乏化政策」を競って繰り広げている。このような状況のなかで世界経済は遠からず回復するという漠然とした期待を持って既存の輸出主導の成長戦略にこだわるのは危険だ。
通貨の緩和と自国通貨の切り下げは切り札にはなりにくいということを、日本の例で再認識させられている。日本は安倍政権になってから攻撃的な通貨の緩和で1ドル90円前後だった円の価値を一時120円台に落とした。輸出中心の大企業の実績が好転して経済が活力を生み出すように見えたが、平均賃金は下落し続けて内需は不振から抜け出せなくなった。アベノミクスは失敗したという評価が出てくる中で、もう「弱い日本円」まで維持しにくく難しくなっている。24日の円とドルの為替レートは一時99円まで上がった。後遺症を心配すべき状態である。
外部環境が良くないなかで、家計の支出を増す借金にあえいで将来に対する不安感から財布のひもを締めて使わないでいるというのが、韓国経済の最も大きな悩みである。このひもをいかにして緩めるのか真剣に検討しなければならない。
韓国語原文入力:2016/06/26 17:10