かつて敵国だったベトナムを訪問したオバマ米大統領が23日、ベトナムへの武器輸出禁止措置を全面解除すると発表した。さらに今後、米軍がベトナム中南部のカムラン湾を利用できるようになる見込みだ。今年3月には、フィリピンから撤退して以来24年ぶりに米軍がスービック湾海軍基地とクラーク空軍基地を使用することで、米国とフィリピンが合意した。これらはすべて中国を念頭にした動きだ。
南シナ海をめぐる米国と中国の対立がますます構造化している。米国は、南シナ海の島々をめぐり、中国と領有権争いをしているフィリピン、ベトナム、マレーシアとの関係を強化している。日本、インド、シンガポールも米国と行動を共にしている。これに対抗し、中国はタイ、カンボジア、ラオス、ブルネイなど、他のアセアン諸国との関係強化に力を入れている。まるで冷戦体制のように、南シナ海に関連するすべての国が敵味方に分かれ、対立へと向かっている。
南シナ海問題は、領有権紛争と米中の覇権争いという二つの側面が絡み合っており、解決策は容易には見つからない。領有権問題においては、中国の攻撃的な動きが目立っている。中国が人工島を根拠に海洋主権を主張し、軍事施設を作っているのは、明らかに国際的な慣例に反するものだ。しかし、中国が掲げる「当事国間の対話と交渉による紛争解決」という主張には一理ある。原則的に域外国である米国は領有権紛争に介入する権利がない。
さらに根本的な問題は、大きくなった国力をもとに海洋大国(としての台頭)を図る中国と、従来の覇権を維持しようとする米国との対立だ。中国は、冷戦時代から続いてきた南シナ海における米国の統制を打破するため軍事力を増強している。米国も軍事力を強化し、この地域の国々との協力レベルを高め、これを防ごうとしている。最近は、双方による武力誇示が頻繁になっており、衝突の可能性も高まっている。南シナ海をめぐる対立は、米国と中国の協力が求められる北東アジア情勢にも否定的な影響を与える。
南シナ海問題をめぐる対立が構造化することは、誰にとっても望ましくない。特に、東南アジアの国々は分裂せずに共存できる道を模索すべきであろう。さらに重要なのは、米国と中国の大乗的な姿勢だ。両国が平和を維持しながら、妥協できる枠組みを築かなければ、衝突につながりかねない。南シナ海は、米国の海でも中国の海でもない、人類の海であるべきだ。
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韓国語原文入力: 2016-05-24 19:21