登録 : 2015.10.20 01:18 修正 : 2015.10.20 05:33

 歴史教科書国定化をめぐる論争が熱を帯びている。この問題は、単なる韓国内部の問題で終わるのではなく、現在進行している北東アジア歴史論争、特に韓日間歴史論争に悪影響を及ぼすのは明らかだ。

 まず、韓国の国定化は、日本の排他的愛国主義を強化する口実とされる可能性が高い。現在の検認定制度の下でも、両国は領土問題をはじめとする歴史紛争の教育を強化するという論理を前面に打ち出し、国の歴史介入を正当化してきた。昨年検定を通過した日本の小学校教科書の一冊は、韓日ワールドカップの写真と関連した記述を削除し、独島(日本名・竹島)領有権を主張する文に書き替えた。韓日教科書の相互記述がどこまで悪化するのかについて懸念せざるを得ない。

 第二に、日本政府に歪曲された歴史記述の変更を求める名分も弱くなる。日本政府は、2001年、自分たちの教科書制度は検認定制であるため、当時、国定制だった韓国のように国が修正を指示できないという立場を示した。検認定制が国定制より先進的で、国定制は後進国や独裁国家で採択されているものという皮肉が込められた回答だ。韓国の国定制への回帰で、韓国の教科書制度が後進的だという皮肉を再び日本から聞かなければならない状況となった。

 第三に、韓国の国定制は韓日間の歴史をめぐる対話に悪影響を及ぼす可能性が高い。両国が共に検認定制を施行する場合、両国の歴史対話の方向は、国家の介入を最小限に抑え、学界の立場を重視する方向に進むことができる。これにより、韓国の学界は日本の学習指導要領や検定基準などを作成する、日本の研究者と教科書執筆者たちに学問的良心と北東アジアの平和志向の教育の必要性、日本の過去清算、排他的愛国主義の克服などの立場を伝えられるようになる。国家間の直接的な衝突を避けられる余地が生まれるのだ。しかし、韓国が国定制度を採用する場合は、そのような柔軟性の空間は消えてしまう。また、両国間の共同歴史研究機構が設立されても、韓国の参加者が国定教科書の論理と異なる主張を提起することがほとんど不可能になる。これは、再び日本の研究者の立場を硬直させることになるだろう。対話が膠着状態に陥る危険性が大きくなるのだ。

 第四に、日韓の市民団体が日本政府の介入を批判する論理を弱体化させることになる。特に、韓国の市民団体が、検定強化を通じて日本政府が教科書に対する国の介入を徐々に強化することを、批判しにくくなる。この場合、韓日両国の国家介入を同時に批判しなければならず、韓国政府がむしろより重要な批判の対象となる矛盾に陥ることになる。日本の市民団体も、東アジアの平和のための歴史認識のために韓国政府の国定制度を批判しなければならない状況を迎えることになる。このような状況は、両国の市民社会グループに「国家主義批判」という新たな課題を与えており、当然、日本の過去清算を中心テーマとすることがますます難しくなる。

イ・シンチョル成均館大学東アジアの歴史研究所研究教授//ハンギョレ新聞社
 最後に、韓国の国定化は、北東アジア全体の歴史認識を硬直させるリスクとなるだろう。韓中日の歴史対話を進める過程でも、果たして国家主義を克服できるかについて、本質的な懐疑を抱かせる可能性が高い。長期的には、中国と北朝鮮の国家主義の強化にも悪影響を及ぼしかねない。結局、北東アジアの反平和的歴史教育の最先鋒に、日本ではなく、韓国が立つようになる危険な状況がもたらされる恐れもある。

 2015年、韓日市民団体が展開した日本政府の歴史教育介入に反対する国際署名には、韓国だけで13万人を超える人が参加した。もはや韓日市民団体が韓国政府の歴史教育への介入に反対する国際署名運動に突入しなければならない状況に追い込まれている。米国と英国マスコミの批判的な立場の表明、そして日本の市民団体の抗議声明は、すでにそのような懸念が現実のものとなっていることを示している。

イ・シンチョル成均館大学東アジアの歴史研究所研究教授(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-10-19 18:43

http://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/713453.html訳H.J

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