登録 : 2015.10.12 00:06 修正 : 2015.10.12 14:06

 ディーゼル車排気ガスの感知ソフトウェアを不正に操作して環境規制を避けることで米国市場で販売量を増やすフォルクスワーゲンの“強欲”が呼び起こした禍は実に残酷だ。 米環境保護庁(EPA)の発表が出た途端にフォルクスワーゲンの株価は35%も墜落し、時価総額基準で約33兆ウォン(約3兆4千億円)が消えた。それだけではない。 排気ガス感知装置の操作は明白な経済的犯罪行為になる。 特に米国の場合、このような犯罪に対しては極めて厳格な法的定規を適用するために、懲罰的損害賠償額だけでも21兆ウォン(約2兆2千億円)程度になると予想される。

 また、フォルクスワーゲンは今回の事件により自動車1100万台以上をリコールしなければならないと見られ、それにかかる推定修理費は約23兆ウォン(約2兆4千億円)に達する。姉妹会社であるアウディとシュコダ自動車も数百万台が同じディーゼルエンジンを使ったことが確認されているので、リコールにともなう被害額はよりさらに増えることが明らかだ。

 フォルクスワーゲンにとって一層深刻な問題は、企業イメージが完全に崩壊してしまったという事実だ。 “クリーン ディーゼル”の先頭走者として親環境車開発の先頭に立ち、持続可能経営と社会的責任活動を積極的に駆使しグローバル企業としての名声を得ていたフォルクスワーゲンだった。 ところが一日にして全世界の消費者を騙した“悪徳企業”になってしまった。 フォルクスワーゲンが耐えなければならない苦痛は算術的に推算できないほど途方もなく且つ致命的だ。

 このため誰が今回の事態に責任を負うべきなのか議論が行われている。 問題の排気ガス感知装置の開発と不正に関連した人々は処罰を免れられないだろう。 しかし世間の関心は前任のフォルクスワーゲン代表理事マルティン・ヴィンターコルンをはじめとする最高経営陣がこの事実を知っていたかに集中している。 彼は事態を収拾するために代表職を辞任し、自身は不正の事実を事前に全く知らなかったと話した。 他の理事会構成員も同じ立場を明らかにした。 だが、この話を信じる人はほとんどいない。 世界1位の自動車メーカーが環境規制を回避するためにソフトウェアを不正に操作し、このような途方もない経済犯罪を数年にわたり行っていた。 最高経営陣の誰もこの事実を知らなかったという話を果たして誰が信じるだろうか。

 フォルクスワーゲンの最高意志決定機構であり経営陣に対する監視義務がある監視委員会も今回の事件に対する責任は免れがたいものと見られる。 監視委員会が不正の事実を事前に一部認知していたという証拠が次々と明らかになっているためだ。 特に排気ガス不正事件が発覚した当時、財務理事を歴任したハンス・ディーター・ペッチュがフォルクスワーゲンの大株主であるポルシェ一族の後見を得て最近新たに監視委員会議長に選任されたことにより、論議は一層増幅されている。 一般人にとって事件発生の究極的責任を免れないだろう最高経営陣に属した人が、真相究明の総括責任者になるということは納得しがたい。

イ・サンホ ハンギョレ経済社会研究院研究委員 //ハンギョレ新聞社

 このようにフォルクスワーゲンの排気ガス低減装置操作事件は、単純な技術的ミスによる自動車リコール事態とは次元の異なる問題だ。 世界市場で世界1位を目指すグローバル企業間の競争が過熱している現実で、市場の拡大は企業にとって至上の経営目標だ。その目的を達成するためにはいかなる手段も正当化されるという論理が企業を誘惑する。まさにこのような理由から、企業の社会的責任と倫理経営を保障できる透明で民主的な企業支配構造が絶対に必要になる。 果たして韓国のグローバル大企業はこのような誘惑に正しく対処しているだろうか。これが今回のフォルクスワーゲン事態を見ながら、総帥の皇帝経営に馴染んでいる韓国の財閥大企業に投げる質問だ。

イ・サンホ・ハンギョレ経済社会研究員研究委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-10-11 18:51
http://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/712290.html 訳J.S(1795字)

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