登録 : 2015.10.01 02:43 修正 : 2015.10.03 11:18

 先月19日、安倍政権は安保関連法案を参議院で電撃的に通過させた。日本は敗戦から70年ぶりに「戦争できる国」になりつつある。手続き上の問題や違憲の問題などで、憲法学者をはじめとした多くの市民が異議を提起しており、この法制がそのまま施行されるかどうかは、もう少し見守らなければならないだろう。

 しかし、米国務省は同日、直ちに声明を出し「我々は同盟を強化し、地域と国際的な安全保障活動において、さらに積極的な役割を果たそうとする日本の努力を歓迎する」と明らかにした。また、米上院外交委員会と軍事委員会所属の超党派指導部も共同声明を発表し、「我々は日本が地域と地球規模の安全保障の懸案において、より多くの役割せるようになったことを歓迎し、米国が日本と共にこの新しい措置を改正された米日防衛指針の文脈で実施することを期待している」と明らかにした。

 米国は、なぜ日本の安全保障法制を歓迎しているのだろうか?

 この質問は、安倍首相が8月14日の談話で示した歴史認識をみると、さらに深刻なものになっていく。安倍首相は「西洋諸国を中心とした国々の植民地支配」が日露戦争の歴史的背景となったと指摘する。だから日本の勝利が「植民地支配のもとにあった、多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけた」と自画自賛する。日本の戦争と植民地政策の責任を「西洋諸国」に転嫁すると共に、日本を弱小国の保護者として自任したのである。

 このような認識は、第二次世界大戦にまで拡大される。「世界恐慌が発生し、欧米諸国が植民地経済を巻き込んだ、経済ブロック化を進めると」、日本は孤立感を深め、「世界の大勢を見失って行った」と説明する。やはり第二次世界大戦の責任も 「欧米諸国」であり、日本はその被害者ということだ。

 米国は、安倍首相のこのような歴史認識を知らないのだろうか?

 答えを見つけるために、中国や北朝鮮を超えて、米国の戦略を見てみよう。財政緊縮と対テロ戦争の負担のため、オバマ政権は戦略を変更した。以前のブッシュ政権は二つの敵国を相手に同時に戦争を行い、勝利するという「二大戦争戦略」を維持した。オバマ政権は対テロ戦争を多数の場所で繰り広げながらも、一方の敵対国との戦争での勝利を収め、他方の敵対国については挑発を抑制したり、防御できる能力を求める「1+1+1」の戦略を採択した。

 2015年の米国の軍事戦略報告書は、同時的に敵国の攻撃から米国を守り▽テロ作戦を継続的に実行すると共に▽軍事力を前進配備して、複数の地域での攻撃を抑制して同盟国を安心させられる軍事的能力を保有すべきだと指摘している。これらの能力を独自に保有するのは現実的に不可能だ。2014年の「4年毎の国防計画の見直し」(QDR)は、米国が比較優位に立っている部分の一つが「同盟ネットワーク」だとして、変化する戦略環境に効率的に対処するために、これを活用することを宣言している。

 何のために、これらの軍事力と同盟が必要なのか。米国はその問いに明確に答えている。オバマ政権は、2015年の国家安全保障戦略報告書で、「開放的な国際経済体制の中で強く、革新的であり、成長する米国経済」が中核的な国家利益の一つだと明らかにしているからだ。

 結局、オバマ政権は、米国経済のために、世界の経営のために厳しい選択を行ったわけだ。安倍首相の歴史認識を無視して「戦争できる日本」を歓迎するのも、そのためだ。

ソ・ジェジョン日本国際キリスト教大学政治・国際関係学科教授//ハンギョレ新聞社
 そのような近視眼的な選択が悲惨な世界をもたらすことは、チャルマーズ・ジョンソンが「ブローバック」(Blowback)という言葉で予言している。彼の予言はすでにイラクやアフガニスタン、リビア、イエメン、シリアでは、現実となった。その悲劇的な現実を3歳のシリア難民であるアイラン・クルディ君が自分の遺体で告発したことを忘れてはならない。

ソ・ジェジョン国際キリスト教大学政治・国際関係学科教授(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-09-30 18:30

http://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/710802.html訳H.J

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