登録 : 2015.08.14 18:39 修正 : 2015.08.15 08:11

 2011年冬の3週間、米国を訪問した。ワシントンと南部、中部、西部を経て最後の経由地のハワイに到着した。 まだ鮮やかに記憶に残っている一場面がある。 数人の専門家の中の座長格である一人が尋ねた。「在韓米軍撤収についてどう思うか?」

 韓米同盟の神格化に対しては批判的だったが、率直に言って在韓米軍の撤収までは考えてみたことがなかった。 それは、北朝鮮の一方的で現実性のない主張に過ぎず、ジミー・カーター大統領時代にあった昔の話程度と片付けた。返答を迷っている間にその専門家は「そんなことは起きないという保障があるか」とさらに尋ねてきた。突然の質問に整理された返事ができなかった。 米中関係をもう少し調べてから、その質問の趣旨が理解できるようになった。

 今週会ったワシントンのある老教授からも同じような質問を受けた。彼は、朝鮮半島での米国の影響力弱体化から生じうる力の空白に対し、韓国は準備しているのかと尋ねた。 力の空白の代表的象徴は在韓米軍の撤収であろう。 4年前にハワイで会った専門家と同じ問題意識だ。

 米国の一方で交わされているこのような議論は、米国と中国の勢力交替を念頭に置いた、米国の専門家集団の苦悩を端的に示している。 特に、中国と米国のヘゲモニーが直接的で一次的に衝突せざるをえない東アジア地域に対する関心は大きい。

 米中関係の根本的変化は予測できない多様な形態で朝鮮半島にも津波級の影響力を及ぼすだろう。 それに比べれば、しばらく韓国外交を困惑させた中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)加入問題や、今懸案となっている朴槿惠(パク・クネ)大統領の中国抗日戦争勝利記念閲兵式参加問題は悩みの数にさえ入らない。

 米中関係が朝鮮半島に及ぼす影響を考慮する時、軋轢の様相だけに注目する傾向がある。 当然、南シナ海で偶発的であっても武力紛争が発生すれば、中東からマラッカ海峡を経て入ってくる韓国の原油輸送路が塞がりエネルギー大乱が起きるだろう。 米国の積極的な軍事介入がなくとも、葛藤は米中間対立に広がるほかはない。 米国は韓国にいかなる方法であれ一定の役割を要求するだろうし、中国も韓国を少なくとも中立化させるために総力戦を繰り広げるだろう。

 だが、米国と中国が東アジア地域で「平和的に」勢力交替をしても、楽観的な未来だけが韓国を待っているわけではない。 米国の影響力が顕著に弱まれば、この地域のヘゲモニーを中国に渡す両国の「ビッグディール」が成り立つ可能性もある。 実際、2008年の金融危機以後に米国学界では世界の警察国家としての米国の役割を縮小しようという主張が出てきて熱い論争が起きた。 縮小論者は、ヨーロッパと中東のみならず東アジアでも費用削減のために韓国の地上軍を撤収し、日本の基地も大幅に縮小すべきだと説明した。 中国が米国からヘゲモニーを譲り受けるならば、朝鮮半島にどんな方法で影響力を行使するだろうか?

 米国の学界が予想するもう一つのシナリオは、中国と日本が地域内競争関係を清算し積極的協力を通じて東アジアから米国の影響力を排除することだ。 日本が歴史的に英国、ドイツ、米国の順で覇権国家との密着関係を維持してきた近代史を顧みれば、現実性が全くない話でもない。 軍事力で影響力を拡大した日本は、中国に対して持分を要求するだろうし、韓国の外交的空間は現在より一層狭くなる恐れがある。

イ・ヨンイン・ワシントン特派員 //ハンギョレ新聞社

 朝鮮半島の未来は不確実性のブラックホールに巻き込まれている。私たちは準備しているのか? 分断70年が過ぎてもなお、木箱地雷爆発のようなむごたらしい既視感を見守り続けなければならない現実は、苦しさを越えてみじめでさえある。

イ・ヨンイン ワシントン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-08-13 18:37
http://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/704345.html 訳J.S(1701字)

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