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[社説]慰安婦問題の中途半端な妥協は警戒すべき

登録:2015-06-15 06:59 修正:2015-06-15 09:08
米紙ワシントンポストとのインタビュー記事 //ハンギョレ新聞社

 朴槿恵(パク・クネ)大統領が韓日間の最大懸案事項である日本の従軍慰安婦問題について、「相当な進展があり、現在交渉の最後の段階にあると爆弾発言をした。朴大統領の発言が8回にわたって進められてきた慰安婦問題解決のための局長級協議の結果を反映したものなのか、慰安婦問題の解決に積極的でない日本政府に圧力をかけるためのものなのかは知る術はない。しかし朴大統領のこのような発言は、韓日国交正常化50周年の日にあたる22日がせまる中で、同盟国であるアメリカから韓日関係を改善するように圧力を受けている状況から出たという点から注目されるに値する。

 朴大統領は11日、米国のワシントンポストとのインタビューでこのように明かして、「水面下の協議が進行中であるだけに協議の具体的な内容については言及をひかえる」と続けた。しかし韓国と日本の外交当局と挺身隊問題対策協議会などの反応を見ると、大統領の発言と外交現場で進行している状況とは相当な乖離があるように見える。

 2011年12月に李明博(イ・ミョンパク)大統領と野田佳彦首相の京都首脳会談が慰安婦問題についての意見の違いで破綻して以来、日本側が慰安婦問題に関連して韓国側に提示した最も解決に近接した提案は、2012年3月に佐々江賢一郎・外務省事務次官が持ってきた、いわゆる“佐々江案”である。この案は日本総理が慰安婦の被害者に謝罪の手紙を書き、これを駐韓日本大使が直接伝えて、人道的措置のための資金支援をするというのが主な骨組みだ。しかしこれに対しては、日本政府の責任が認められていないとして韓国政府が突き返した経緯がある。

 その後日本側も政権が民主党から、保守色が強い自民党の安倍晋三政権に変わって同案ですら退けられる様相が続いていると伝えられている。しかも日本側は局長級会議で慰安婦妥結の前提条件として駐韓日本大使館の前の少女の像の撤去と国際社会での慰安婦問題提起の中止を求めているという。

 最近高齢の慰安婦のおばあさん二人が相次いで亡くなって政府に登録されている慰安婦は50人に減った。したがって彼女たちの存命中に慰安婦問題を解決すべきだという人道的圧力が高まっていることは事実だ。しかしこのような状況が日本と慰安婦問題を適当に妥協する名分になることはない。慰安婦問題の最大の争点はお金でなく「日本政府の責任」の認定だ。このように原則をないがしろにしたまま政治的妥協を求めるのは本末転倒であるということを政府は肝に銘ずるべきである。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015/06/14 20:25

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/695935.html 訳T.W

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