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[社説] “過去の人物”では国家情報院の“未来”は不可能だ

登録:2015-03-18 21:58 修正:2015-03-19 06:32
イ・ビョンホ国家情報院候補者が16日午前、国会で開かれた人事聴聞会で証人宣誓をしている。イ・ジョンウ先任記者//ハンギョレ新聞社

 イ・ビョンホ国家情報院長候補者は16日、国会の人事聴聞会で、自分が龍山(ヨンサン)惨事を「暴動」と表現したことについて「不適切だった」と述べるなど、精一杯に腰を低くして見せた。 国家情報院の大統領選介入疑惑を強く否定していたことについても過りを認め、「国家情報院は不名誉な過去と絶縁する」と約束した。 しかし、彼が人事聴聞会用に低姿勢を取り、国家情報院の政治介入根絶を誓ったからといって、果たして今の時代の国家情報院をリードする適任者になれるだろうか。 そうなるためには、彼が生きてきた経歴や言動から余りに多くの欠格事由が発見される。

 まず、イ候補者が国家情報院長になることは恥ずべき過去との断絶ではなく、恥ずべき過去の延長であるという点を指摘せざるを得ない。 彼は、中央情報部において情報機関の仕事を始め、国家情報院に名前が変わる以前の安全企画部(安企部)時代に、そこを離れた。 その時代、情報機関は政治工作、査察、人権弾圧の代名詞だった。 暗く不幸だった時代の“過去の人物”が、20年後に再登場して国家情報院の“未来”を主導すると言うことからして、一編のコメディと言えよう。

 事実、各種の寄稿文などで表出されたイ候補者の“誤った認識”は一過性のミスではない。 それは長期にわたり情報機関で働きながら骨の髄まで刻み込まれた“所信”であり、過去の自分が働いていた時代の情報機関に対する一種の“郷愁”と見るほうが正しい。 彼が国会人事聴聞会で、5・16クーデターについて「国家安保を強化した歴史的な契機」と言ったのは、彼の所信と哲学がどんなものかをよく見せてくれる。 彼のこのような政治的・理念的偏向性は決して一夜で改善され得る性質のものではない。 彼が率いる国家情報院が“脱政治”の動きを見せると期待するのは、木から魚を獲るに等しい。

 イ候補者の家族のうち、なんと7人が米国の市民権者または永住権者であることも、黙って見過ごし難い部分だ。 朴槿恵(パク・クネ)政権は昨春、在外公館長人事で、子供が二重国籍の高位外交官4人に対し、子供の韓国国籍回復と兵役義務履行を条件に大使に内定した経緯がある。 だが今回は、他でもない国家最高情報機関の責任者の座に米国国籍の家族が大勢いる人物を座らせようというのだから、この政権の人事基準は一体何なのか理解に苦しむ。 韓国には国家情報院長を務められる人間が、それほどにもいないということか。 時代の流れに合わない旧時代の人物であるイ候補は、どこから見ても、新時代の国家情報院の首長としてふさわしくない。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/682427.html 韓国語原文入力:2015/03/16 21:56
訳A.K(1192字)

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