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[社説]韓中FTAに徹底した検証を求める

登録:2015-02-26 10:59 修正:2015-02-26 11:19

 韓中両政府が25日に自由貿易協定(FTA)協定文に仮署名した。政府は昨年11月の交渉妥結の際に発表しなかった商品別関税撤廃内容もこの日公開した。これで両国政府間の交渉は事実上終了し、今後は協定文の本格的な検証に入らなければならない。

 仮署名協定文の内容をみると、両国で利益が一致する分野を除き比較的「低いレベルの開放」に合意したことが伺える。関税撤廃対象は包括的だが撤廃期間を中長期とした品目が多い。交渉で韓国は農水畜産業、中国は自動車や家電など主力製造業を保護しようとした痕跡が歴然としている。サービスや知識財産権分野も様々な安全装置が設けられ、投資分野は合意から抜け落ちている。

 開城(ケソン)工業団地に対する域外加工の認定条件は破格な内容となった。開城工業団地の製品の大部分が韓国産の地位を得たし、協定発効後直ちに関税恩恵を得ることができるよう合意した。域外加工に対する過去の協定の中で最も有利な条件だ。そのうえ二国間域外加工委員会を構成し、域外加工地域を追加する余地まで残した。南北関係が改善されれば開城工業団地の活性化は言うまでもなく、国内外の資本の対北朝鮮投資がより一層増えるものと期待される。

 韓中FTAの経済的波及力は他のどの協定より大きいと考えるべきだ。国内では期待が大きいだけ憂慮も侮れない。中国は一人当りの国民所得が1万ドル以上の人口が5億人を超えるほど途方もない市場であり、米国や欧州より今も速い成長の勢いを持続させている。協定が発効されれば国内輸出産業は競争国よりはるかに恵まれた条件で中国市場を攻略できることになる。だが一方で中国産の中低価格製品の輸入拡大にともなう国内関連産業の被害も憂慮される。

 政府は肯定的な効果と否定的な効果をすべて考慮した対策を用意すべきだ。予想される悪影響を見通さぬまま「経済的効果の早期可視化」だけを前面に打ち出し国会批准同意を押しつけられても困る。通商条約は単に対外交易秩序だけでなく国内経済全般と国民日常生活にも変化をもたらす。該当する産業はもちろん財政、雇用、衛生、人権、環境などにも少なからぬ影響を及ぼす。さらには経済主権と憲法が保障した国民の基本権を制約する恐れもある。これほど重大な事案を一つの政府部署だけで進めた対外交渉結果で決めるわけにはいかない。韓中FTAは今までの交渉より国会の批准同意手続きのほうが一層重要だ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015.02.25 18:44

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/679691.html 訳Y.B

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