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誇張された韓中FTAの関税縮小効果

登録:2014-11-13 09:05 修正:2014-11-13 10:49
イ・ドンピル農林畜産食品部長官(左)が12日午前、国会農林畜産食品海洋水産委員会で「韓中FTAに飯米用の米を含まないでほしい」という野党議員の要求を聞いている。イ長官は調査すると答えるだけで野党議員の強い反発を呼んだ。イ・ジョンウ先任記者//ハンギョレ新聞社

「韓米FTA5.8倍の54億4000万ドル」と主張
関税払い戻しの把握せず過剰な推計
英文協定文が公開されるまで評価できず

 韓中自由貿易協定(FTA)の実質的妥結を宣言した政府は、中国の関税撤廃などにともなう韓国の輸出品の関税縮小効果が54億4000万ドルと見積もられ、歴代協定の中で最大になると誇ったが、成果が誇張されているとの批判が出ている。

 産業通商資源部は10日の妥結発表当時の政府合同ブリーフィングで、「韓中自由貿易協定の自由化が最終的に達成される場合、年間の関税縮小予想額が54億4000万ドルになり、韓米協定の9億3000万ドルの5.8倍、韓ヨーロッパ連合(EU)協定の13億8000万ドルの3.9倍に達する」と発表し、今回の協定の主な成果として前面に出した。

 だが、この数値はそれほど現実性がないと指摘されだしている。韓中協定は5年ごとに20年かけ関税を段階的に撤廃し、中国市場の91%(品目数基準)を完全に開放する内容になっている。ところが、産業部は関税縮小額を計算する際に、2012年の貿易統計を基準にして韓国の輸出品に対し中国が徴収した関税をすべて合わせた後、20年後に実現される関税全面撤廃条件を適用した。

 韓米と韓ヨーロッパ連合の関税縮小額の推定値も同じ方式をとったが、協定発効後3年前後で90%以上の関税撤廃がされるので現実性があった。これらと異なり中国の関税縮小の推定はそれこそ想像の産物だ。

 そのうえ、この数値は加工貿易が約半分を占める韓国の対中貿易の特性をまったく考慮していないという点でも問題がある。 中国は自国で再加工した後、輸出を通じて生じる加工貿易用途の輸入に対しては後になって関税を払い戻す。韓国は対中輸出の半分ほどが加工貿易用途であるため、すべてではないにしても多くの関税が後になって払い戻しされる。

 だが、産業部はこうした払い戻しの現況を把握するのは現実的に不可能だという理由で、関税縮小額推定でこの部分はまったく考慮しなかった。シン・ボンチョル京畿大学教授(経済学)は「政府が話す関税縮小効果は加工貿易の関税払い戻しなどを考慮すれば非常に過大評価されている」として「今後、英文協定文が作成され公開された後に、政府が信じさせようとしている各種期待効果に対する検証が可能になるだろう」と話した。

チョン・セラ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2014.11.12 23:00

https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/664243.html 訳Y.B

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