本文に移動
全体  > 経済

韓中FTA…コメ・自動車・医療は除外

登録:2014-11-10 20:49 修正:2014-11-11 07:20
米国・ヨーロッパ連合に続き世界3大経済圏と協定締結
「自由貿易協定(FTA)対応汎国民対策委」が10日午前、ソウル鍾路区貞洞のフランシスコ会館で韓中FTA妥結にともなう立場表明の記者会見を開き「韓中FTAは農業と食糧主権を放棄する決定版にな」として、これまで締結された協定の全面再検討を要求している。 キム・ソングァン記者//ハンギョレ新聞社

 朴槿恵(パク・クネ)大統領と習近平中国国家主席が10日午前、中国の北京人民大会堂で韓中首脳会談を開き、30か月続けてきた韓中自由貿易協定(FTA)交渉の妥結を宣言した。

 アン・ジョンボム大統領府経済首席は北京現地でのマスコミブリーフィングで「今日、両国首脳が見守る中でMOU(合意議事録)に署名をした。 これは両国間交渉が妥結し、今後公式協定文案を作成するという意味を込めている」とし「今日妥結した内容に基づき今後両国が年末までに協定文案を作成することになり、その後に韓国の産業通商資源部長官と中国の商務部長が公式署名することになる」と説明した。

 これに先立ち韓中交渉チームはこの日午前2時まで終盤の交渉を行い、最終合意案を導き出し、午前7時にユン・サンジク産業部長官と高虎城中国商務部長の最終確認作業を経て妥結宣言を作成した。交渉で最大の争点は自動車およびLCDパネルなど、中国の工業製品の開放レベルと韓国の農水産物市場開放幅だったと交渉チームは伝えた。

 キム・ヨンム韓中自由貿易協定交渉首席副代表(東アジア自由貿易協定推進団長)は「今回の協定が“実質妥結”したという意味は、今後両国間に残る争点がないという意味であり、文案調整および法律検討などが残っているだけの状態」であるとして、「できるだけ早い時期に国内手続きを終え、来年中の協定発効を目標にしている」と明らかにした。さらにキム副代表は「6日夜まで交渉がまともに進展されず、先週は交渉チーム間で大声が飛び交う場面もあった。8日(土曜日)夜には交渉チームが撤収することまで考えた」として、会談終盤まで陣痛があったと説明した。

 韓国はこの日の交渉妥結宣言により、米国とヨーロッパ連合(EU)に続き中国まで世界3大経済圏と自由貿易協定を結ぶことになった。石油化学、運送およびサービス産業などが今回の協定妥結で恩恵を受けると見られるが、農産物市場の開放による農業界全般の打撃が予想され、繊維・衣類や生活用品などの業種は低価格労働力を前面に出した中国の攻勢により否定的影響を受けるものと見られる。 終盤の争点となった品目のうち、コメは譲歩対象ではなく交渉除外対象に分類され、今後の再協議の余地をなくし、韓中両国共に鋭敏品目と感じている自動車、医療分野は譲歩対象から除外された。

北京/ソク・ジンファン記者 soulfat@hani.co.kr

以下は一問一答

 アン・ジョンボム大統領府経済首席とキム・ヨンム韓中自由貿易協定(FTA)交渉首席副代表はこの日午前、韓中首脳会談および協定合意議事録署名の後、北京のあるホテルに用意された韓国プレスセンターを訪れ、この間の交渉過程および結果をブリーフィングした。 以下は一問一答の核心内容を要約したものだ。

-即時関税撤廃の場合、品目数が韓国が50%で中国は20%だが、初期段階で譲歩したのではないか?

「輸入額を基準とすれば中国も44%だ。 交易がほとんどない品目が多く、大きな意味はなく、交渉は主に輸入額を基準として進めた」(キム・ヨンム)

-今日行われた署名はなんであり、年内に仮署名するというのはどういう意味か? まだ交渉項目が残っているのか?

「両国首脳の臨席下で署名したものはいわゆるMOUだ。 合意議事録というが、両国間で交渉が妥結し、公式的な協定文案を今後作成するという意味を込めている。 今後に残された手続きには追加交渉や内容はなく、文案作成のための修正や法律的な検討が残っているだけだ。 文案を修正し年末までに仮署名を行い、来年に正式署名、そして国会の批准同意だけが残っている。 来年中の発効を目標にしている」(アン・ジョンボム)

-農産品の場合、品目数基準で70%の開放だが、交渉がうまくいったと見るか?

「品目数が多いが、韓国内で生産される主要農産品はほとんど大部分が譲歩から除外された。 農産物の場合、韓国がいつにも増して農産物の関税撤廃による弊害を防いだと見てよい。 輸入額基準40%で防いだことは、途方もなく大きな成果と申し上げられる。 輸入額基準で見れば、交渉目標を達成したと見ても良さそうだ」(アン・ジョンボム)

-コメは今後追加交渉の可能性が全くないのか?

「コメの場合は、この間譲歩除外として扱われていたが、譲歩除外ということはいつでも交渉のテーブルに再び上がりうる。 今回コメは協定対象‘除外’で合意した。 今後、自由貿易協定に関する限りコメの場合には絶対に交渉対象に再び上がることはないという意味だ」(アン・ジョンボム)

-中国側にはどのような利益があるのか?

「中国側の利益を我々が計算することは難しい。韓国が中国側に対して即時撤廃した部分と10年以内とした部分の品目を見れば、ほとんどが石油化学、鉄鋼、半導体、電気電子など韓国が競争力で圧倒的優位にある品目だ。 農産物を除いてはそれほど大きな被害が予想される状況ではないとみる」(キム・ヨンム)

-韓国にとってのコメのように中国側が開放しないことにした分野はどんなものか?

「今回の交渉で、自動車、LCDパネルが難しい部分だった。結論的に申し上げれば、自動車は両国ともに譲歩から除いた。 そしてLCDパネルの場合、10年撤廃で行くことで両国とも条件とした。 韓国側が農水産物を守る以上、中国も超敏感品目でこの部分を使った」(キム・ヨンム)

-サービス市場開放に関連して韓国側が要求した金融や通信、法律、医療などはどうなったか?

「金融の部分は両国ともに敏感な部分があり、この部分に対しては開放水準がそれほど高くなく、通信は中国が相当部分を開放した。 医療の部分は中国も韓国も共に敏感性がとても強いので、両国共に除いた」(キム・ヨンム)

-交渉終盤の過程を少し説明してほしい

「現地で公開するということ自体がやや自然でない部分がある。 ただし、直近4週間に非公式交渉を続けた。 今週の交渉が峠だったと言え、6日夜まで妥結ができずに週末交渉に延長して今週も徹夜交渉を続けた。 最後まで残った争点は、両国の開放レベル、コメの協定除外問題、そして最大の難関は品目別原産地基準だ。 この部分に対する技術交渉が極めて多く残っていたので、今日の午前2時まで交渉を通じて一括妥結に至り、今朝両国の長官が確認した。 先週は交渉チーム間に大声が飛び交うこともあったし、8日(土曜日)夜には交渉チームが撤収しようとした」(キム・ヨンム)

ソク・ジンファン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/663707.html 韓国語原文入力:2014/11/10 16:16
訳J.S(2868字)

関連記事